【こちらもチェック!】成功する家の買い換え基礎講座バックナンバー
<1>家を売る前に知っておきたいこと
<2>仲介業者をどう選ぶ?
<3>「売り」と「買い」どっちが先?
<4>「買い換えローン」は賢く使う!
家を売る際にどうしても悩んでしまう事のひとつが、「販売価格の値付け」でしょう。家電製品も今は「オープン価格」と言って、定価を表示しなくなりました。ディスカウントが当り前になり、定価を言うのも意味がないからでしょうか?それは、値引き戦略が販売に大きな影響を持つ場合と「正札販売掛け値なし」(値引きは一切しない)という場合があるからです。
不動産も金額が大きいだけに、値引きは当り前という風潮があります。値引きしないのは大手の新築物件ですが、裏には裏があり、実質、値引きはどこでも行われています。大手のサラリーマンの方が勤務先のブランド力を真似して、勘違いの強気な値付けをして処分に困ることがよくあります。中古住宅市場は意外と合理的な競争の世界です。値付けを間違えると売れません。個人が自宅を売る場合には周到な価格戦略が必要です。
値段の付け方で売れ行きに差が出ます。当たり前のことですが、そもそも値段の考え方が整理できていなければ、値付けの良し悪し以前の問題です。今回は値段の考え方、そして値段の付け方について解説してみましょう。
■売値を考えるための「6つの価格」
一般の方が自分の物件を売るケースでは、下記のような6つの価格が想定できます。
(1)売り手の希望値
下記イラストでいうと、売り手が3000万円で売りたいと希望する価格ラインをさします。
(2)販売価格
実際に市場に売りに出す価格のことです。下記イラストでいうと、2800万円のラインです。
(3)査定価格
当初に業者が査定した価格のことです。下記イラストでいうと、2600万円のラインです。
(4)売り手の限界価格
下記イラストでいうと、売り手が2500万円よりも安いなら売らないという価格ラインをさします。
(5)買い手の希望価格
下記イラストでいうと、買い手が2400万円ならすぐ買いたいという価格ラインをさします。
(6)成約価格
売り手と買い手が納得する価格のことです。下記イラストでいうと、(1)~(5)の間にある価格、つまり2400~3000万円の間にある価格のことです。
(2)の販売価格は、(1)の売り手の希望の影響を少し受けます。業者は最初のうち売り手の言い分を尊重して、査定よりも高い価格で販売を始めることが通常です。しかし、(6)の成約価格は売り手の希望の影響を受けません。最初の値付けが安いと、結果の成約価格も安くなると考えるのは大きな誤解です。
不動産の価格は、何万人もの市場の目にさらされて形成されていくので、売り手の希望に左右されるような主観的な相場ではありません。自分の希望価格がかなわなくても現実に妥協しないと、成約に結びつかないことが多いです。
さて、次ページでは成約するために、価格で注意したいことです。