どの部屋からも池のうつろいを感じられる家
池のほとりにある家。都内とは思えないプチ・リゾートな恵まれた立地 |
リゾートハウスは何と言っても立地が決め手。池や川、森など、都会でもちょっとした自然を感じる立地が非日常的なリゾート性を高めます。東京都内にあるAさんのお宅は、緑豊かな池のほとりという絶好のロケーション。不動産チラシで売り出されていた土地を見て、小さい頃、池の近くに住んでいた記憶が蘇ったというAさん。それまでも近くの一戸建てに住んでいましたが、類稀なその土地を即購入しました。
リビングからつながる広い2階デッキは、池を五感で感じられるオープンテラス。デッキとリビングのフローリングが重層的につながり、視界に奥行きを出す効果も(写真提供:このページいずれも「家・夢工房」) |
こだわりの立地をさらに生かすのはプランニング次第。リビング、書斎、和室、子供部屋……どの部屋からも「池のうつろい」を感じたいとの希望を第一条件に掲げたAさんは、建築家をプロデュースしてくれる「家・夢工房」に依頼。大開口で光と風を取り入れる設計で実績のある建築家・松本英敏氏に依頼しました。
アプローチ部分から階段を上って玄関前に立つと、池が顔をのぞかせます。玄関に入ると、窓がなく一瞬暗く感じるタイトな空間に。これは次に待っているドラマチックなシーンのプロローグ。そこを通り抜け、リビングに出た途端、一気に視界が開け、視界一面に広がる池の輝きに心を奪われます。
一気に水面が広がる「ドラマチック・リビング」
リビングの大開口からは、池が視界いっぱいに広がる。光に照らされる室内の白さを抑えるため、床は落ち着いたチーク材に |
2階リビングから吹き抜けでつながる、3階のマルチスペースは、お子さんが池をバックに遊んだり勉強をしたり。一方、バスルームは敢えて池を見せるのではなく、坪庭を見せる「閉じた」設計に。外からの視線を感じることなく、心からくつろげる静寂なスペースとなっています。
住まう人の心の抑揚が景色に投影できる家
ただ景色を見せるのではなく、光と風景のコントラストも意識して、住まう人の心の抑揚も景色と住まいに投影できるよう、インテリアはきわめてシンプルに。リビングで子供たちが遊ぶ光景も、書斎にたたずむときも、和室でくつろぐときも、ベッドルームで1日の疲れを癒すときも、すべて池とつながり家族が投影される設計になっています。昼の水面の輝きを愉しむ「オン」の池。夕暮れから夜のムードある静寂を愉しむ「オフ」の池。居る場所によってどちらも楽しめるという設計の工夫が随所に盛り込まれ、「池×建築家×住まい手」のコラボレーションによって生まれた「景色を愉しむ家」です。
次ページでは「家の外も別荘地のような街づくり」について紹介します。