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二世帯同居・近居せざるを得なくなる?(2ページ目)

新年、親子世帯が一堂に集まって今後の暮らしについて話し合った人も多いのでは? 「結婚・出産後も働きたいから親のヘルプは不可欠」など、二世帯同居・近居が再び、必需スタイルとして注目されている模様。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

親の介護で同居せざるを得ないケースも増加?

「こ・こ」中庭
中庭を通してほどよく二世帯がつながり、孫が気軽に行き来できる(旭化成ホームズ「こ・こ」)
もう一つの調査では、超高齢化を物語り、親の介護や老後の世話が切実な問題になっていることを示しています。旭化成ホームズの「二世帯住宅研究所」が2007年7月に発表した調査によると、「独自に家を持つことが困難だから」といった経済的な理由は、2001年の40%→2005年には31%にまで減り、「親の老後を考えて」が1位、「家事育児で協力しあえる」が2位と、親世帯や片親の高齢化や、子世帯の結婚・出産などの家族変化に起因する項目が上位にきています。

さて、二世帯住宅が建築されるようになってずいぶん経過しましたが、時間を経過した二世帯住宅ならではの問題があることも最近わかってきました。

築20年以上の二世帯住宅に住む60代のAさん夫婦。40代のとき、Aさんの親世帯と同居するため二世帯住宅を建築。キッチンとトイレがそれぞれ2ヶ所、玄関や浴室は共用の、かなり大きな2階建てです。親世帯2人+子世帯4人が居住していた頃はそれでも手狭でしたが、親世帯が他界して子どもたちも巣立ち、現在は当初の子世帯だったAさん夫婦のみが暮らしています。

もともと子世帯の居住スペースが2階にあったため、今もAさん夫婦の生活の舞台は2階がメインですが、60代になり、買ってきた食材などを2階にあげることも大変。窓も床面積もニ世帯分ありますから朝夕の雨戸の開閉や掃除も一苦労で、せっかくの広く大きな住まいはかえって使い勝手が悪くなってしまっています。

世代交代を迎えた二世帯ならではの問題解決法

ならば空いている1階に生活シーンを移せばいいと思いがちですが、20年にわたって自分たち仕様に部屋の使い勝手を改善してきているため、落ち着けるのは2階の方。リフォームしようと思っても、二世帯→単世帯の縮小リフォームは構造・外装的にも難しく、数千万のリフォーム費用がかかってしまうことになり、いっそ建て替えたほうがベターな可能性も出てきます。
二世帯調査
「親の高齢化や老後を考えて」子世帯から二世帯同居を考えるケースも増えている(二世帯住宅研究所「二世帯同居・この10年」調査より

このような古い二世帯住宅特有の悩みを抱える高齢者は、かなりの数にのぼると考えられます。二世帯住宅がそのまま二世帯住宅として次世代に受け継がれていけばいいのですが、ライフスタイルの変化や核家族・単世帯化から難しいのが現実です。

二世帯住宅は、玄関やキッチン、浴室を分けた「完全分離型」から、玄関だけ共有といった「一部分離型」や「完全同居型」、1階と2階で世帯を分けるスタイルや、2棟別々に分けた建物まで、単世帯住宅よりも様々なタイプがありますが、住宅の形に複数世帯の趣味志向が反映されるため、買い手側のニーズに合致しにくく売却が難しいと指摘する業界関係者もいます。

こうしたことを背景に、最近は新しいスタイルの二世帯住宅が登場しています。詳しくは次ページで!
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