どんな住宅を建てるにせよ、できる限り敷地を有効に活用し、かつ広々として快適な空間としたいものです。特に都市型住宅の場合はなおさらです。今回は、「都市部の限られた敷地、厳しい法規制があっても実現できる快適空間のあり方」をテーマに考えていきます。先日、私が取材してきた事例についても紹介したいと思います。

様々な法規制の下で建てざるを得ない都市型住宅

都市部には、住宅を建築する上で様々な法規制が存在します。主なものとして以下があります。
  • 都市計画法
  • 建築基準法
  • 斜線制限
  • 防火地域、準防火地域など
住宅密集地

東京都内の住宅密集地の様子。それぞれの住宅は様々な法規制や制約をクリアしながら建てられている(クリックすると拡大します)

ここでは詳しい説明を省きますが、要するにある土地があるとして、その土地に皆さんが好き勝手に住宅を建てられないようになっているのです。例えば敷地目一杯に住宅を建てるとか。

なぜ、そうなっているかというと、皆さんが好き勝手に住宅を建てると、前後左右の住宅の日照を遮断してしまったりすることによる住民トラブルが発生したり、火事が起こった際に危険だったりだとか、様々な問題が発生するためです。

ですので、住宅密集地では厳しい法規制の下で、住宅づくりを行わざるを得ません。ですので、ハウスメーカーなどではできるだけ広く、開放感が感じられ様々な暮らしのシーンに対応できるよう、工法や構造の工夫や開発を行ってきました。

で、敷地条件が厳しい都市型の住まいづくり取り入れられている代表的な設計手法として、「スキップフロア」によるものがあります。これは仮に建物の高さが一般的な2階建て住宅くらいだとして、その中に何層もの住空間があるというイメージのものです。

具体的には、駐車スペースや寝室などそれほど高さが求められない空間の天井高を低くして、その分の天井高をリビングなどの空間に加えるといった設計手法です。

スキップフロア設計のメリット&デメリット

駐車場は人が住むスペースではありませんし、寝室はこもり感があった方が逆に落ち着いて眠れる、なんていう話もあります。要するにそれぞれの空間にメリハリを持たせるという設計手法だと考えられます。

スキップフロア

スキップフロアによる設計で建てられた住宅の内部の様子。限られた空間を階段や段差、床を複雑に組み合わせることで、最高や通風、家族の居場所などの確保につなげている(クリックすると拡大します)

多層の住宅となりますから、その分、家族の居場所を増やしたり、収納スペースなどを確保しやすいということもいえると思います。狭小な住宅でも吹き抜けなどを設置しやすくなり、このあたりがスキップフロアの主だったメリットといえるでしょう。

逆にいえば居場所づくりを含めて、家族のライフスタイルをしっかりと把握して設計しないと、満足度を損なう可能性も否定できないのが難しいところといえます。階段や段差がやたらと多なりがちで、ごちゃごちゃした印象になることもあります。

階段や段差が多いことにより上下の移動が多くなりますから、加齢による身体的な衰えを気にされる方にはあまりお勧めできません。つまり、バリアフリーの点で優れた住まいではないということです。

加えて扉がほとんどない住まいとなることも多いので、建物全体の気密・断熱性が高くないと快適な住空間にならない可能性もあります。居場所や収納スペースが増えるのはうれしいことですが、快適性を犠牲にするのなら本末転倒です。

何が言いたいかというと、元々条件が厳しい場所に建てるというわけですから、都市部の狭く制約が多い場所で建てる住宅というのは一般的な住宅と比べて高度な設計スキルが求められるということです。この点は覚悟が必要です。

ちなみに、スキップフロアはかつては建築家が主に取り入れていた設計手法でしたが、近年は木造住宅を中心にハウスメーカーのほか、工務店レベルでも積極的に取り入れられるようになりました。

さて、次のページではそれ以外の空間の有効活用の事例として、先日私が取材してきたモデルハウスに取り入れられている手法を写真で詳しく紹介します。