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「家を買う」から「街を買う」時代へ

高度成長期から日本の街を作り上げてきた「まちづくり」も、半世紀を経て「まち育て」という第2ラウンドに入っています。昭和40年代に誕生した多摩・港北NTの「今」を視察しながらの、ガイドの多感記。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

「今ある街並み」を評価する基準が誕生

プレ協冊子
プレハブ建築協会が作成した「まちなみ景観評価の提案」冊子の表紙
今年3月、「まちなみ景観評価の提案」という提言書が発表されました。発表したのは、プレハブ住宅メーカーなどを会員として構成される(社)プレハブ建築協会。同協会は、「プレハブ建築の健全な普及および発展を図ることで、わが国建築の近代化と国民生活の向上に寄与すること」を目的に、当時の建設省・通商産業省の共管により、昭和39年1月設立。会員数はハウスメーカーや建材メーカーなど約200社が加盟しています。

「まちなみ景観評価の提案」は同協会住宅部会環境分科会まちなみワーキンググループ(参加企業:旭化成ホームズ、積水化学工業、積水ハウス、大成建設、大和ハウス工業、パナホーム、ミサワホーム)が作成。作成した理由として同協会では「最も大切なのは、そこに住む人が街並み環境を理解し評価すること。優れた街並みが少しでも住む人の資産価値に反映されることを願って作成した」としています。

事実、現在の住宅・不動産市場では、いくら住環境や環境に配慮した街並みであってもそれを評価する指標がなく、住宅の資産価値に反映されないのが実情。資産価値として評価されなければ、住人が苦労して美しい街並みや環境に配慮した努力をしても水の泡になってしまいます。その意味で、新しく作られる住宅地でなく、既存の住宅地のまちなみ景観を評価する手法としては、画期的な動きといえるでしょう。

住人の努力も資産価値に影響する?!

街並みと植栽
住民自身による植栽などの工夫も大きく評価される
評価の手法は「まちなみ景観調査シート」に基づき、事業者によって計画的に作られた評価だけでなく、個々の住宅が周辺に配慮して配置や外構を工夫しているかどうかも評価に加え、住人の努力も評価されるシステム。

街区の造成計画や街路(街路樹、歩道の芝生の有無)、家並み景観、外構(門周り、駐車スペース、アプローチ)、植栽、住人の取り組みなどの5項目合計100点満点で評価し、事業者の計画評価(40点)よりも、住民の取組も含めた一軒の住宅地評価(60点)のほうにより重点を置いている点が特徴的です。

たとえば、評価のポイントは以下のとおり。
■外構……自然石を統一外構素材に活用したり、駐車スペースを隣家と2台をつなげたりして街の美観に配慮しているか
■植栽……各戸のガーデニングの有無や、生垣を2段上下に植栽することで緑のボリュームを演出しているか。共有地の植栽を住民参加で行うなど成熟したコミュニティを感じさせるか
■電設……地中化もしくは電柱・架空線を目立たせない工夫があるか
■給湯器、空調室外機が道路からの景観に配慮しているか
■夜間照明の工夫があるか
■サービスヤード・駐輪場が道路からの景観に配慮しているか

いかがでしょう? 皆さんの家づくりをする際にも参考になるのではないでしょうか? 次ページでは実際にガイドが視察した「まちづくり半世紀の大先輩」ニュータウンをご紹介します。
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