今回の記事は久々に「スマートハウス」関連の話題を取り上げます。その最新技術の一つに「V2H」(ヴィークル・トゥ・ホーム、Vehicle to Homeの略)があります。住宅と電気自動車(EV)などとの間で電力をやりとりできるようにする仕組みですが、その実棟を取材する機会がありましたので、ここで詳しくご紹介したいと思います。

「V2H」とはどんなシステムなの?

取材したのは、群馬セキスイハイムがこのほど販売を始めた分譲地「スマートハイムシティ天良ガーデン」(群馬県太田市、全38区画)に建つオープンハウス(当初はモデルハウスとして公開され、その後は分譲住宅として販売される建物)です。

V to heim

公開されたオープンハウスの外観。大容量の太陽光発電システム、HEMSに加え、電気自動車の蓄電池を活用するV2Hシステムを搭載しているのが特徴だ(クリックすると拡大します)

セキスイハイム(積水化学工業住宅カンパニー)グループは、昨年4月にV2Hシステムを初めて標準的に取り入れた「V to heim」(ヴイ・トゥ・ハイム)を発売しました。今回はそれが初めて実棟で公開されたので取材してきました。概要は以下の通りです。

・鉄骨ユニット住宅(2階建て)
・延べ床面積=121.67平方メートル
・太陽光発電システム=8.91kwh
・HEMS「スマートハイム・ナビ」を搭載
・EV用パワーコンディショナを搭載


まずV2Hの基本的なポイントについてご紹介しておきます。前述したように、EVやPHV(プラグイン・ハイブリッド車)と電力をやりとりするシステムですが、要するにこれらが搭載している「蓄電池」を家庭の電力利用にも役立てようというのが、このシステムのキモです。

蓄電池にも様々なものがありますが、家庭用の場合は大きなものであっても蓄電容量は7kwh程度。一方、現在市販されているEVでは日産の「リーフ」で24kwh、三菱自動車の「アイミーブ」では16kwh。家庭用に比べクルマの方が蓄電容量が大きいのです。

より大きな蓄電池に太陽光発電システム(以下、PV)などで生み出された電力を貯め、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)で最適な管理をすることで、できるだけ電力会社が供給する電力を使わないですむように考えられているのです。

現在、国により「ZEH」(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及が進められています。それは将来的に新築住宅で「エネルギーの自給自足」(電力会社から購入しないですむようにする)を目指すという方向性があるからです。V2H住宅はそれに合致したものともいえます。

災害時に強みを発揮するのも特徴

ちなみにエネルギーの自給自足は、冬期に暖房や給湯に多くのエネルギーを使いがちになるため現状では難しいそうですが、それ以外の時期なら可能になりつつあるそうです。

システムの概要

住宅とクルマの間にEV用パワーコンディショナを設置し、これでエネルギーのやりとりをコントロールするのがV2Hの基本的な仕組みだ(クリックすると拡大します)

さて、災害への備えという点でもV2Hシステムを搭載した住宅にはメリットがあります。例えばリーフくらいの充電容量があれば、災害による停電が発生した場合でも約6000wの電力が同時に利用できるといいます。

また、太陽光発電システムで発電した電力を貯めながら利用できますので、丸2日程度は普通に近い電力使用が可能になるそうです。もちろん、クルマとしても利用できるわけですから、その点でも安心感があります。

東日本大震災直後にガソリン不足が発生したことを考えると、その理由はお分かりいただけるでしょう。自宅で充電して、クルマが使えるというのは災害時には心強く感じられるはずです。

課題もないわけではなりません。EVやPHVはあくまでクルマですから、通勤など頻繁に利用する場合は蓄電池としての機能をあまり期待できなくなります。V2Hの効果が発揮されるかには、EVをセカンドカーとして買い物などに利用するといった、利用者のライフスタイルにも左右される面があります。

私は、自動車の世界については専門家ではありませんし、燃料電池車の普及といったことが考えられることも承知しています。しかし、いずれにせよ今後は、ガソリン車に代わりEVが主流となっていくのではないでしょうか。

そうなると、V2Hシステムは今後の住まいにおいて必須アイテムになる可能性が指摘できそうです。次のページでは、V2Hを取り入れた住宅では、具体的にどのような暮らしになるのかを見ていきます。