住まいの性能10分野とは
住まいの性能の種類は下記の10分野に及びます(新築住宅の場合)。1.構造の安定……地震、暴風、積雪に対する強さなど
2.火災時の安全……火災時に安全に避難する対策など
3.劣化の軽減……住宅に使われる材料の劣化を遅らせる措置など
4.維持管理・更新への配慮……給排水、ガス管の点検や清掃、補修のしやすさ、共同住宅において間取り変更のしやすさなど
5.温熱環境……省エネルギー対策の措置など
6.空気環境……ホルムアルデヒド対策など
7.光、視環境……居室の開口部の面積と位置など
8.音環境……床、壁、窓の遮音性など
9.高齢者への配慮……バリアフリー対策など
10.防犯対策……ドアや窓の侵入防止対策など
「地震に対する強さ」「火災に対する安全性」「省エネルギー対策」などの10分野の性能項目について等級や数値で表します。(出典:一般社団法人住宅性能評価・表示協会)
ライフスタイルによって重視すべき性能は変わってくる!
もし一生そこに住み続けるつもりならば高齢者への配慮という分野に注目してみましょう。等級は1~5まであり、数が大きいほど高齢者対応の性能が良いことを示します。逆にまだ若い世帯だったり、住み替えを予定している場合はそれほど気にしなくてもいいでしょう。必要がないのにあちこちに手摺がついているとそれはかえって邪魔になってしまいます。たとえ高齢者対応の評価が等級1でも建築基準法の内容はクリアしているので不自由は感じないでしょう。開口部を大きくすると構造耐力がマイナスになることがあります。「トレードオフの関係」といいます。 |
トレードオフの関係とは
このように、住宅の性能を考えるとき、どこを重視するかは購入する人が決めなくてはなりません。全ての分野の性能が高ければ高いほど良いと考えるのではなく、自分のライフスタイル、地域の気候、風土、デザイン、使い勝手など、性能表示で表されていない個別の事情を考え合わせて、性能の最適な組み合わせを選択することが大切です。また、性能表示項目間でトレードオフの関係がある場合があります。例えば「光、視環境」の区分になりますが、開口部の大きさを重視し明るい家にしたいと考えた場合、その分建物を支える壁の量が減り、構造的な強さではマイナスになる場合があります。このような点についても配慮して、ご自身のニーズに合った、合理的な性能の組み合わせを選択するようにしましょう。
今後は、住まいの性能の項目や評価等級の意味するものなど、住まい選びに欠かせない住まいの性能全般の知識を詳しくお伝えし、一生に一度の大切な住まい選びの参考になるように、順次解説していきたいと考えています。
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