マンション物件選びのポイント/マンションの構造・耐震性

建物に適した地盤と基礎の関係を知ろう(3ページ目)

地震で大きく破損したり傾いたりするマンションと、そうでないマンションの違いはどこにあるのでしょうか。今回は、その原因となる地盤の種類や見極め方、地盤と基礎の関係を解説します。(初出:2006年3月 改訂2014年10月)。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

中高層マンションの基礎の種類

マンションの基礎の種類は地盤の条件で決まってきます。硬い地盤が比較的地表近くにある場合は「直接基礎」を使い、硬い地盤が地中深い場合は「杭基礎」を使います。直接基礎には「布基礎」や「べた基礎」、杭基礎には「支持杭」、「摩擦杭」などがあります【図3】。

「地中深くまで長く杭が打ってある杭基礎の方が強い」というイメージがあるかもしれませんが、そういうことではありません。建物を支えられる固い地盤が地中深くにあるためそうしているだけで、強固な地盤が地表近くにある良い地盤なら、マンションでもべた基礎で建てられます。また、大切なことは、どんな基礎形状であれ、基礎部分と上にのっかっている建物の部分が堅牢に結合していることです。

【図3】マンションの基礎の種類

【図3】マンションの基礎の種類

 

注意点としては、直接基礎の場合は地盤沈下や液状化による建物への影響、杭基礎の場合は地盤の支持力不足や杭の破損による建物への影響などが考えられます。

地盤調査図の見方

それでは次の地盤調査図の例を示します【図4】。これは土質形状図といい、建物を支えられる支持地盤が地中どの程度の深さにあるのか、地中はどのような地盤の層で構成されているのかなどを知ることができます。

これから購入予定のかたは、マンションのモデルルームにある構造図の中にこの地盤調査図があります。すでにマンションにお住まいの方は、管理事務室に置いてある構造図を閲覧させてもらいましょう。

【図4】土質形状図の例

【図4】土質形状図の例(クリックで拡大)

 
この地盤調査図では、この土地の支持地盤は地下20メートルの当たりにあり、そこまで杭基礎をしっかり打ち込んであることが読み取れます。

地盤にあった基礎になっていることが大切

今回は、建物の建つ地盤と基礎について見てまいりました。マンションなど重くて大きい建物は、事前に大がかりな地盤調査を行い、その地盤にあう基礎形状を用いて建てられます。しかし、もしもともと軟弱な地盤の上に建てられている場合、そうでない土地に建つものを比較して地震時の揺れが大きくなったり、建物への被害が大きくなる傾向があります。

これからマンションを購入予定の方も、すでに住んでいる方も、ぜひご自身の目で地盤調査図をみて地盤の状況を確認するようにしてください。もし軟弱地盤であれば、どのような安全対策を取っているのか確認し、室内の家具転倒防止対策をしっかり取っておきましょう。

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