マンション物件選びのポイント/マンションの性能・耐久性

ヒートショック!? 冬場のお風呂に要注意(2ページ目)

冬になると、入浴前後の急激な温度変化が原因で、お風呂で心臓疾患や脳卒中を起こしてしまう「ヒートショック」の発生件数が増えてきます。そこで、冬場、安全なお風呂タイムを過ごすための注意点をまとめました(初出2007年12月)。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

ヒートショックを起こさない温度は
室温プラスマイナス2℃まで

高齢者に快適な風呂・脱衣所・着替え時の温度差は25℃±2℃まで。

高齢者に快適な風呂・脱衣所・着替え時の温度差は25℃±2℃まで。

それではヒートショックを起こさないための温度差は何度くらいなのでしょうか?

建設省の作成した「長寿社会対応住宅設計マニュアル」(戸建住宅編)によると「住まいの温熱環境は部屋による温度差が生じないよう全室暖房が望ましい」としています。

また、『高齢者のための建築環境』(日本建築学会編、彰国社刊)によると「高齢者の冬場における風呂・脱衣所・着替え時の室温の奨励値は居間より2℃高い25℃±2℃(一般は24℃±2℃)」であるとしています。ところが実際では10℃以上の温度差があることが多く「体へ与える影響は計り知れない」と結んでいます。

理想は室温に差がない家

欧米ではセントラルヒーティングによる全室暖房が普及している。
欧米ではセントラルヒーティングによる全室暖房が普及しているが、日本ではまだなじみが少ない。
温度差対策として推奨される、先ほども出てきた「全室暖房」とは具体的にどのようなものがあるか見てみましょう。

例として欧米や日本の北海道で多く見られる「セントラルヒーティング方式」があります。欧米や北海道は緯度が北に位置し、寒いことから暖房システムが発達しています。

セントラルヒーティング方式は、地下室などにボイラーなどの加熱装置を設置し、そこで作られた温水を壁の中を通して各部屋に送り、暖房するというもので、住戸内の各部屋の温度が均一に保てるという利点があります。ただし、セントラルヒーティングにするには一般的に大掛かりな工事を要するため、初期設備投資(イニシャルコスト)の確保が必要になります。

日本では、北海道を除く地域では全室暖房よりも各部屋ごとに暖房を行う「局所暖房」が主流となっており、それがヒートショックをもたらす原因となっています。「全室暖房」は設備費のコスト高がネックとなっていますが、これからは安全性や快適性の面から「高気密・高断熱・全室暖房」の時代に入っていくと考えられます。

それでは次のページでおススメ!お風呂・洗面所用の暖房器具を見てみましょう。

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