理想的な設備回りのカタチとは
ここでもっとも理想的なカタチを挙げてみましょう。それは「スケルトン・インフィル」の仕様で建てられたマンションです。スケルトン・インフィルとは、コンクリートの構造躯体と、室内の内装や設備配管などを分離してつくる仕組みをいいます。この仕組みのもとに造られたマンションであれば、先ほどから挙げている困った例のように、コンクリート躯体に設備配管が埋め込まれることはなく、先に寿命がくる配管類を交換しやすくなります。また設備配管や室内の間仕切りなどを自由に変更できるメリットがあり、ライフスタイル、家族構成の変化があった時に対応しやすくなります。すなわち、長く住むことが可能なマンションとなるのです。
「スケルトン・インフィル」の概念図。スケルトン(躯体)部分とインフィル(内装・設備)は分離して計画します。排水管が通るパイプスペースは共用部に設置します。また、躯体に電気配線などを打ち込みません。 |
スケルトン・インフィル仕様は、これからの時代に求められる「高耐久性のあるマンション」「資産性のあるマンション」の条件として外せないものになっています。政府の推奨する「200年住宅ビジョン」の条件にも組み込まれており、これからマンション選びをする方にはぜひ注目していただきたい仕様の一つです。
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住宅性能表示制度を活用して設備回りをチェック
とはいえ、マンション購入予定の人がこれら設備配管類のチェックをするのは至難の技です。そこで「住宅性能表示制度」の活用をお勧めします。今では新築分譲マンションの70~80%が取得している「住宅性能表示制度」ですが、この中の「維持管理対策等級(共用配管)」という項目でどのような等級になっているか調べてみてください。
チェック項目は二つあります。いずれも等級には1~3まであり、数字が大きい方が性能がよいことを示しています。
■4-2 維持管理対策等級(共用配管)
■4-3 更新対策(共用配管)
次のページでそれぞれのチェックポイントを詳しく見ていきます。