この事件に学ぶこと
1.近隣・周辺環境への配慮 |
新築工事をする場合、一般に隣が古い建物であれば家屋調査をします。特に新築建物がコンクリート造であればなおさら調査の必要があります。家屋調査は解体後更地になってからすることが多いです。ただ解体時にも近隣への挨拶・説明や養生シートで現場を囲うといった周囲への配慮が必要です。
この事件は軟弱地盤と隣家建物の構造上の欠陥、外壁タイルの選択ミスなどが相まって惨事となりました。施工業者がこれらの注意事項を見落としたことがこの事件を引き起こしたといえます。
2.きちんとした解体業者・工務店を選ぶこと |
そして建て主は施工業者に任せるわけなので、建て主にも責任が問われます。建物をつくる工法や工事の流れはある程度確立されていますが、建設地の環境は一軒一軒違います。施工業者は合理的な方法が優先されがちなので、業者選びには周辺環境を読み取れ、近隣に気遣いできるところを選びたいですね。
また建て主は気がついたところや近隣状況などその土地ならではの特性など情報があれば着工前に伝えておくことも大切です。そしてこのとき施工業者は聞く耳をもって対処するかどうかも信頼できる工務店選びの際に大切なポイントとなります。
※この事件の内容はH18年6月25日住宅新聞事件ファイルの記事を参考にしています。
※用語のチェックと参考リンク集
地質調査 | 建築物の建設に先立ち、土地を地質学的と土質工学的に調べること。地質調査・地盤調査によって地盤が建築物を安全に支持できるものかどうか、またそのための方策を検討する。 ◆土地探しは地耐力も考えよう。 ◆自分の目で見て考える地盤診断 |
耐震性 | ◆耐震性のある家づくり1 【地盤・基礎編】 基本にして最重要!!地盤・基礎 ◆構造とメンテナンスで家の寿命をもっと長く! ◆全半壊率0.4%、新潟県中越地震から学ぶ家づくり 地震に強かった雪国の住宅 |
積層ゴム | ゴムと鋼板が交互に層になって重なったもの。建物を支え、地震のときに建物をゆっくりと移動させます。ゴムの柔らかさによって、地震時に水平方向にゆっくり揺れ、地震の揺れができるだけ建物に伝わらないにします。そして鋼板の硬さによって、重い建物を安定させて支えます。 |
伸縮目地 | タイルのひび割れや脱落の原因は、タイルとその下地のモルタルの間にすき間ができることによります。伸縮目地はいわばクッション材で、モルタル(タイルと壁のつなぎ)が熱や振動によって収縮したり膨張するのを受け止める役割をします。クッション材がなければモルタルとタイルにすき間ができてしまうので、一定の距離ごとに伸縮目地を設ける必要があります。 |
ハンチ | 梁やスラブの端部の断面を中央より大きくした部分をいう。力が大きくかかるため補強するために断面を大きくして支える。 |
家屋調査 | その土地や建物の境界がどこに あって、どのような形をしているのか、また、どのような用途に使用されているかなどを調査、測量する。 |
軟弱地盤 | 地表面下10mまでに腐植土や粘性土N値3以下、砂質土N値5以下のような土層が認められた地盤。 ◆地震に負けない丈夫な家づくり軟弱地盤判定の目安は? |
参考リンク
◆家づくりでトラブルに遭わないために
◆1位は周辺環境!失敗事例から学ぶ家づくり 見落としてしまった失敗TOP4
◆住宅裁判事件簿:外壁の色で隣人が提訴したら?