家づくり事件簿より~間取りの無断変更


家づくりの経緯:原告Xの場合
企画>>
原告Xは建築条件付きの土地(*1)を購入し家づくりが始まった。
設計>>
契約>>
着工>>
条件付といってもフリープランでできるということだったので、プランの打合せが始まり、間取りもスムーズに決まり着工した。
上棟式>>
上棟式(*2)の日になってふと間取りプランと軸組を重ね合わせると台所横の家事室がないように見えた。現場監督に聞いてみると「あぁありますよ。今は柱がたくさん立っているからわかりづらいと思いますよ」との返事で、式の用意もあったのでその場は取りざたされなかった。

しかし気になったため1週間後に現場に行き確かめたところやはり家事室はなかった。すぐに工務店の社長さんに聞いたところ、建ぺい率(*3)がオーバーしたため、あまり影響のない所をなくしたとの回答が返ってきた。勝手にプランが変更されるとは信じられない気持ちで、解体をするか、それができないようであれば契約を解消すると申し出た。すると建築条件付きなので多少はコストのことも考え我慢するように言われてしまった。ユーティリティスペースの分、キッチンスペースはやや広めにとってあるというやりとりの後、工事は途中で止まってしまった。

竣工>>
引渡し>>
メンテナンス



用語調べ:*1-*3
*1建築条件付きの土地土地の売買契約と建物の建築請負契約を一体化して取引を行うことを条件とした土地
*2上棟式建物の守護神と匠の神を祀って、棟上げまで工事が終了したことに感謝し、無事、建物が完成することを祈願する儀式。「棟上げ(むねあげ)」、「建前(たてまえ)」ともいう。
*3建ぺい率建築物の敷地面積に対する建築面積の割合


トラブルは曖昧なやりとりと理解が引き金に


建て主の許可なく変更するということは考えられないことです。では一体なぜこのような事故が起こってしまったのでしょうか。AIU保険会社は事故の発生要因として以下の3つを挙げています。

1. コミュニケーション不足
2. 勘に頼った過信
3. 集中力不足


これは何にでもあてはまります。
<住宅メーカー><工務店><建築家>誰に頼もうかと考えていてもやはり最後は「任せられる」「安心感がある」という印象が決め手になった人が多いのもうなずけます。

業界人はとかく業界の常識という範囲の中に陥りやすいきらいがあります。建て主の気持ちをくみ取るにしても限度はあるので、家づくりを頼む際、自分達家族が一番こだわっているところを明確に伝えることです。そうすることで工事を受ける側の意識に強く印象づけることができます。トラブルが起きてからでは、人間関係、建て直しの修復は簡単にはいきません。良い家は建て主と依頼先のどちらか一方の問答ではなく、互いに知恵やアイデアを出し合ってできるものです。また設計者や施工業者は施主の現在要求する満足だけでなく、将来の満足も考えて提案していくことが大切です。

建て主は顧客ではなく“個客”である。
個性ある快適な家づくりはこの関係が大切です。


※参考リンク
一緒に夢の家をつくってくれるパートナーは誰? 依頼先を決めるまでに考えること ◆住宅裁判事件簿:外壁の色で隣人が提訴したら?
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