2000年代以降は商品力の強さが魅力
次に、マンションの商品力をみていきます。商品力をみる上で一番重要な基準は、丈夫で長持ち・性能・品質が良いかどうかです。これらを知る上で、建築知識のない方にとっての判断材料の一つには性能表示(性能評価書)を取得しているかどうかをチェックすると良いでしょう。性能表示制度とは、耐震・耐久・省エネ、防犯など10分野の性能について、設計の段階と建築の段階で第三者の専門機関が評価し、その性能を等級で表示するというもの。この制度が導入されたのは、2000年4月からなので、それ以降に建てられたマンションで性能評価書を取得していれば、丈夫で長持ちする条件をある程度満たしているという見方ができます。ただし、当初は設計に関する性能評価書ほどには建築の評価書普及は進んでおらず、設計・建築の両方を取得するようになったのは、姉歯事件があった2006年以降に建てられたマンションからが多いのです。
性能評価書を取得していないマンションをすべて選択肢外にしてしまうと、対象マンション数が激減してしまいますので、いくつか別の見方をしてみましょう。
マンションでは音のトラブルが問題となることが多々あります。遮音に大きく影響するのが、コンクリートの厚さ。上下階を分けるコンクリートの厚さをスラブ厚といいます。かつては130mmが標準といわれた時代もありましたが、それが150mm、200mmと厚くなり、最近では200mm以上が標準となりつつあります。
竣工年別の床スラブ厚の表(図4)をご覧ください。200mm以上のマンションが過半数を超えるのは1998年度です。したがって、遮音性が高いのは1990年代後半以降のマンションということができます。
図4:竣工年次別の床スラブの厚さ(資料:旧住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)『平成16年度公庫融資を利用したマンションに関する満足度』より) |
ちなみに、阪神・淡路大震災で大破したマンションは旧耐震基準以前のものは、8.5%でしたが、旧耐震基準では2.3%、新耐震基準では0.3%でした(東京カンテイ調べ)。
これらを考慮すると、81年の新耐震基準に基づいて建てられたマンション(厳密には82年夏から秋以降に竣工)のほうが、一般的には安心といえるでしょう。
商品力の結論として、遮音性、耐震性など基本的な商品力を持つマンションは1990年代後半以降のマンションを。さらにより性能面で安心を求めるのなら、2000年代前半以降のマンションの中から探すのが良いでしょう。
次のページでは、DINKSの向く中古マンションの最終結論です。