マンションを購入する際、将来に売ったり貸したりすることを意識してマンション選びを進めるシングルは多いことと思います。これは「住替え」を前提としての購入と言えますが、もし、「住み続ける」ことを考慮せずにマンション選びをしているとしたらどうでしょう。「売らない」「貸さない」あるいは、「売れない」「貸せない」という状態に陥ると、豊かで快適な暮らしを送ることができなくなるかもしれません。ライフスタイルが変化する可能性が高いシングルこそ、あらゆる選択肢を検討し、マンション選びの最適化を目指しましょう。

人生100年時代と言われるけれど

厚生労働省の平成 28 年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性 80.98 年、女性 87.14 年です。さらに80歳の平均余命は、男性8.92年、女性 11.82年と平均寿命を10年前後上回ります。80歳の二人に一人が90歳前後まで生存するならば、なるほど人生100年時代と言えそうです。

dl

自分らしい豊かな暮らしのためのマンション選びとマンション購入を



30歳でマンションを購入すると60年間。これは、30年の住宅ローンが2回組める計算です。そうかと言って30歳でマンションを購入し、60歳で住宅ローンを利用してマンションを購入するかというと、さすがに定期収入がないと厳しいものがあります。定期収入がなければ現金で購入することになりますが、その場合は住宅ローンを返済しながら買替資金を貯蓄していかねばなりません。初回のマンション購入が無茶な資金計画であれば貯蓄はできず、60年間同じマンションに住み続けることになるかもしれないのです。

生涯未婚率は上昇傾向。「住み続ける」視点が必要

マンションを購入後、結婚したり、実家に帰ったり、転勤になったりとライフスタイルは大いに変化する可能性があります。大切なことは、「自分はどう暮らしたいか」ということですが、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が公表している生涯未婚率は上昇傾向です。生涯未婚率とは、50歳時点で一度も結婚していない人の割合であって一生独身を続ける人の割合ではありませんが、直近の2015年の生涯未婚率は男性が23.37%、女性は14.06%です。男性は約4人に1人、女性は約7人に1人が未婚という結果は、過去最高を記録しました。同研究所は、2035年には男性28.95%、女性19.15%まで上昇すると予測しています。となると、購入したマンションに一人で住み続ける期間も、当初の予定以上になる可能性が高く、長期視点でのマンション選びが求められます。

購入後の住まいとの関り方は3パターン

長い人生においてライフスタイルは変化しますが、購入したマンションとの関係は、大きく3パターンに分類できるのではないでしょうか。それは、「(1)住替えて売却する」、「(2)住替えて賃貸に出す」、そして「(3)住み続ける」の3つです。4つ目があるとすれば「住替えて放置する」ですが、これはさすがに維持費がもったいないため、特殊要因と余裕資金があった場合としておきます。

マンション選びの際、「住むため」のマンションを選ぶことは大前提で、わざわざ意識したりはしません。ですが、これからは「住み続ける」ことを強く意識して選ぶ必要があるのです。「終の住処」という言い方がされますが、「終の住処」と言うと「一戸建て」をイメージする人も多いのではないでしょうか。「いつかはマイホーム」という時も同じく、「一戸建て」のイメージが強い印象です。人生100年時代において一人で一生を終える時、もしかしたら一戸建てよりもマンションの方が安心かもしれません。終の住処としてのマンションを考えてみましょう。

大切なコミュニティ

シングルも夫婦の場合も、おおよそ人間というものは一人で亡くなるわけですが、それでも誰にも看取られずに亡くなる孤独死というのは辛いです。内閣府の「高齢者の健康に関する意識調査」(2012年)によれば、「孤独死を身近なものとして感じる」と回答したシニアは、夫婦のみ世帯が14.6%だったのに対し、一人暮らしは45.4%と半分近い人が孤独死を身近なものとして感じています。また、身近に感じる理由を尋ねると「一人暮らしだから」という回答が27.9%と最多となり、次いで「ご近所との付き合いが少ないから」 16.4%、「家族や親戚と付き合いがないから」 11.8%、「あまり外出しないから」 8.8% と続きます。

一戸建てもマンションも、コミュニティが出来上がっているところへ新居を構え参加するのは、少々ハードルが高いことかもしれません。ですが、マンションは一戸建てよりは人の入れ替わり頻度が高いですし、管理組合や自治会のイベントも比較的多く、その気になればいくらでもコミュニティへの参加が可能です。消防器具点検や雑排水管清掃、ガス器具点検など、何かにつけて住居への立ち入りがあり引き籠ってはいられません。仮にご近所との付き合いがない場合であっても、管理人さんという身近な存在が、個人とマンション全体をつなぐ大切なパイプ役となるのです。いかがでしょうか、マンションは長寿社会の終の住処と言えそうではありませんか。

大切にしたい「人生軸」あなたのマンション選びの時間軸は?

マンション選びの際、あなたは何をモノサシにして自分に合ったマンションを絞り込んでいっていますか。駅に近い、南向き、快適なバスルームなど、希望条件は山ほどありそうです。あわせて考えて欲しいのは、時間というモノサシです。「5年後に絶対売却」と決まっていれば、「売りやすいマンションを購入して丁寧に住む」ことは重要です。「10年後は実家に帰るので、その間を通勤ストレスなく快適に暮らしたい」ならば、優先したいのは交通利便性でしょうか。でも、確定ではない。どうなるかわからない。どうしたいかも明確ではない。となると話は違ってきます。

10年、20年と過ごしていると、ライフスタイルも働き方も変化します。退職後はセカンドライフステージです。当たり前だった健康状態が、あちらこちらと痛くなったり、動きにくくなったり。会社の付き合いが減り、学生時代と友達関係が復活したり、近所付き合いが増えて来たり。あなたの年齢プラス10年、20年の会社の先輩や親せき、ご近所さんのライフスタイルを観察してみましょう。話を聞くことも有効です。長期視点での自分のライフスタイルを考え、ずーっと快適な住空間とは何だろうということを意識して、マンション選びを進めてください。意識するだけで、マンションを選び時の思考回路が違ってきます。

終の住処のマンション選び「3つのP」

ガイドがお勧めしている自分らしいマンション選びの「3つのP」で考えみましょう。「3つのP」とは、「Place(場所)」「Plan(プラン)」「Price(お金)」です。
3p

自分らしいマンション選びは「3つのP」で希望条件を整理する



「Place(場所)」
駅に近い、ことだけを優先するのではなく、マンションを中心に同心円を描いてみて、暮らしが豊かなになる諸施設があるかどうかをチェックしてください。公園、散歩やジョギングしたく道、カフェ、病院、行政施設など。自分の暮らしを長期視点で考えたうえで、身近にあると良いものは何でしょうか。ご相談者の中に、駅から徒歩10分のマンションを購入した方がいらっしゃいました。しばらくは、遠いなあ、少し高くでも駅直結のマンションにすれば良かったかなぁ、と思っていたそうですが、駅から離れることで静かで、緑も多く、歩きたくなる道や公園が駅と反対側にあることなどを住み始めてから再発見した。と満足そうにお話しされていました。

「Plan(プラン)」
自分が年を重ねるように、マンションも経年劣化していきます。購入時だけの快適さではなく、リフォームのしやすさの確認も大切です。そして、管理体制も要チェック。管理組合の活動状況や管理会社のサポート内容は確認しておきたいポイントです。新築マンションの場合は、竣工して入居開始後に管理組合が結成されるため、その時点では管理組合の活動状況はわかりません。ですが、管理会社は、他マンションでのサービス内容や実績などはホームページで確認できます。多くの入居者の意見のとりまとめは大変ですし、地震、豪雨など、災害に対する共用部分の備えは、マンション全体で行う必要があります。住人や管理組合に対して、適切なアドバイスができる管理会社だと安心です。売主だけを判断材料にしないようにしたいです。

「Price(お金)」
数年内の転売が確定しているのであれば、高く売れたり貸せたりすることは重要です。そして、「住み続ける」ことを考えるならば、無理な資金計画や返済計画は禁物です。管理費や修繕積立金を含めた、毎月の支払総額が家計に負担とならないこと。そして、住宅ローン返済をしながらも、将来のための貯金ができる返済計画が最重要です。繰上げ返済用の貯蓄、老後の生活資金の積立、そして、場合によっては、将来の住替えのための貯蓄が必要です。目の前の必要資金だけを考えていてはいけません。

ライフプランニングの必要性

収入から支出を引き算した残りを「収支」と言いますが、この「収支」から将来のための貯蓄をしていきます。旅行のため、独立起業のため、老後のため、住替えのため、目的ごとに預け先を分けるとわかりやすくなります。方法や手段も大切ですが、もっとも大切なことは、ライフプランニングです。人生という時間軸において、あなたは「誰と」「どこで」「どのように」暮らしたい、と考えているのでしょうか。考えていなければ、是非考えてください。快適なマンションライフは、「自分らしい豊かな暮らし」があってこそです。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。