(注) 平成16年から17年にかけて民法や民事執行法の改正法が施行され、不動産競売の制度のうちいくつかが変更になっています。おおまかな流れは変わりませんが、この記事の内容は改正前の平成15年時点のものになっていますのでご注意ください。改正点のポイントなどは機会を改めてお伝えします。 |
住宅ローンの延滞が続いたり何らかの事情で物件が差し押さえられると、一定期間を経過した後に競売によって処分されることになります。
住宅を安く手に入れる方法として一時期はこの競売が話題になりました。最近ではマスコミで取り上げられる機会も少なくなったようですが、年々情報提供システムなども整備され、現在でも盛んに行なわれています。ではこの競売に参加 (入札) するにはどうしたらよいのでしょうか。裁判所での競売不動産に対する期間入札の手順をみながら、競売の現状も交えて解説したいと思います。
ここでは東京地方裁判所での手続き方法を中心に解説しています。他の地裁では手続き方法や期間が若干異なる場合もありますのでご注意ください。
また、各地方裁判所による不動産競売のほか、国 (国税局・財務局) や自治体による公売や公有財産の売払なども行なわれています。
なお、余談ながら 「競売」 は一般用語では 「きょうばい」 ですが、不動産など法律用語では 「けいばい」 と読みます。
■ 競売情報の入手
まず、競売にどんな物件が出されるのか情報を得ないことには何も始まりません。競売が決まるとまず 「公告」 といって、その物件の最低売却価額・買受申出保証額 (入札保証金額) ・入札期間・開札期日・売却決定期日、それに “3点セット” の閲覧開始日が公表されます。
公告は入札開始日の3週間前頃に行われ、それ以降次の方法 (媒体) により情報を入手することができます。
■ 3点セットを閲覧する
公告の1週間後から3点セットを閲覧できるようになります。3点セットとは、 「物件明細書」 「評価書」 「現況調査報告書」 のことで、物件評価の詳細や差押え当時の使用状況、間取り、買受人が負担すべき賃借権の有無などが記され、外観や室内の写真なども添付されています。競売の場合には事前に室内を見ることができませんので、この3点セットが重要な判断材料になります。
裁判所 (東京地方裁判所管内は民事執行センター) で3点セットのファイルを閲覧する。 (有料でコピーできます)
【BIT】 では、閲覧開始日から3点セットの画像データをPDFファイルでダウンロードすることができます (要Acrobat Reader) 。ただし、公開されているのは現在のところ東京地方裁判所管内 (23区および島しょ部) と大阪地方裁判所管内の物件のみです。容量が大きい (1メガバイト前後~2メガバイト程度) ので、通常の電話回線によるダイヤルアップ環境だとちょっとつらいですね。
その他のエリアについては、有料ながら3点セットの提供をしている民間サイトがいくつか存在します。詳しくは ≪競売物件や公売物件を探す≫
競売対象となる物件には占有者がいたり、マンションの場合では管理費や修繕積立金等を滞納しているのが普通です。それらの事項も3点セットに記載されていますが、滞納額等については記載された金額 (調査時点) と入札・開札時点とでタイムラグがあるので注意が必要です。
占有者については正当な権限で占有している相手なのか、不当な占有で裁判所の引渡命令の対象となる相手なのかといったことも判断しなければなりません。
なお、3点セットに添付されている写真は、物件を良く見せようというものではありませんので、たいてい見栄えのしないものになっています。
page1-1 ≪競売情報の入手≫
page1-2 ≪3点セットを閲覧する≫
page2-1 ≪入札参加物件の決定~入札価格の決定≫
page2-2 ≪事件取下げの確認≫
page3-1 ≪入札書類の入手~記入≫
page3-2 ≪入札保証金の振込み≫
page3-3 ≪入 札≫
page3-4 ≪開 札≫
page4-1 ≪落札できなかったら≫
page4-2 ≪落札したら≫
page4-3 ≪すべてを業者に依頼すると≫
page4-4 ≪で、結局どうなの?≫
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