近年はマンション管理の重要性が認識され、法的な整備も進んできました。そのため、新築マンションでは入居者を集めてこと細かに説明されることも多いでしょう。しかし、管理が実際にうまく機能していくかどうかは未知の部分です。
管理会社の質が重要なことはもちろんですが、「管理組合の構成員となる、購入者自身の意識によってその後が決まる」といっても過言ではありません。
いずれにしても新築マンションでは、管理会社やこれから管理の “仲間” となる他の購入者をとりあえず信じておくしかありませんが、中古マンションを購入する場合には実際の管理状態を見ることができます。
ところが、中古マンションにおけるそのメリットを活かすことなく、物件見学のときには「正面エントランスから入って部屋を見ておしまい」という人が現実には多いようです。
そこで今回は、中古マンションを見学する際にぜひ現地で確認しておきたいポイントをいくつか挙げてみました。
管理の「形態」よりも「実態」
マンション管理の形態は、大きく分けて委託管理と自主管理の2つがあり、委託管理の場合でも実際に委託している業務の内容はさまざまです。なかには委託管理といいながら、清掃業務のみを週1回程度やってもらっているだけのケースもあるでしょう。また、「自主管理のマンションはあまり良くない」と考える人もいるでしょうが、決してそうだとはいえません。
確かに、自主管理でほとんど機能していないようなマンションも存在しますが、逆に分譲当初は委託管理だったものを住民の意思によって契約解除し、非常に優れた管理を自分たちで実践しているマンションも存在します。
大切なのは管理の形態よりもその実態であり、管理形態にとらわれることなく、現実の管理状態を把握することが必要です。管理組合や理事会が主体性をもってきちんと機能しているかどうかについても、売主に確認してみましょう。
とはいえ、不審者も多い昨今ですから管理員が常駐していれば少しは安心できます。しかし、管理員が24時間常駐というマンションは限られるため、管理員の勤務時間や休日などについても確認しておきたいところです。
共用部分の清掃状態を確認する
エントランスや廊下をはじめ、共用部分の清掃状態はよく確認しておきましょう。ゴミが落ちていてもそのままだったり、ほこりが溜まっていたり、郵便受けの前にチラシが散乱していたり、エレベーター内に落書きがあったりしたら要注意です。管理員が常駐していても清掃業務は別の人(あるいは別契約)の場合があるほか、他の居住者のマナーの問題に起因するケースも少なくありません。
自転車置き場などの状態にも注意が必要です。まるで放置自転車のようにバラバラに駐輪されているようでは、マナーに欠ける居住者がいると考えて間違いないでしょう。ゴミ置き場の状態などもしっかりと確認しておきたいポイントです。
共用部分や共用施設の状態にも要注意
マンションの1階部分などに店舗や事務所などが入居している場合、正面からは見えない裏側の共用部分に資材や在庫品、飲食店の食材などが山積みになっているケースもあります。あるマンションでは、共用部分を勝手に従業員の休憩室や更衣室にしている事例もありました。決して良い状態ではないのですが、昼間不在がちな一般居住者と違い、店舗や事務所で使用する人は管理員と接する機会も多いため、馴れ合いになってしまうことがあるようです。
また、正面のエントランスはオートロックなのに、裏口へ回ったら外部の人が自由に出入りできる、なんてマンションも現実にあります。建物の周りをぐるっと回って確認してみることも欠かせません。
さらに、分譲時にはウリだった豪華な共用施設も、年月が経つうちにまったく使われなくなっているケースもあります。それらが実際に稼動しているのか、無駄な施設になっていないかなどについても確認しておきましょう。
掲示板も忘れずに確認しておく
意外と見落としやすいのがエントランスの奥などにある掲示板です。何か月も前に終了している内容の告知がそのままになっているケースのほか、破れかけた掲示物、濡れて文字がかすれた掲示物、あるいはガムテープの跡がベタベタなどというのは感心しません。良い管理ができているマンションでは、掲示物などにも目が行き届いているものです。
建物外壁などもよく見て確認する
建物の外壁なども丹念に確認します。コンクリートやタイルのひび割れ、剥離などがそのままになっていたり、鉄筋が錆びて露出しているようなマンションは避けたほうが賢明です。修繕工事の計画を確認することも大切ですが、ひどくなるまで放置されること自体に何らかの問題があるといえるでしょう。
購入を検討する段階でさらなる確認を
物件見学の際に現地で確認できるポイントをいくつか挙げましたが、実際に購入を検討する段階になればさらなる確認も必要です。管理組合の定期総会がきちんと開催されているか、管理費などの滞納が放置されていないか、修繕積立金の金額は適正か、大規模修繕工事の計画がきちんと練られているかなどについて確認するほか、管理規約の内容にも目を通しておくようにしましょう。
これらの確認は売主に対する聞き取りのほか、不動産会社を通さなければ確認が難しい項目もあるため、具体的に購入候補物件を絞り込んでからで構いません。
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