■ 将来が分からないからこそ迷う
もし自分の将来が分かっているのならば、それに沿ってきっちりと試算をすればよいでしょう。しかし誰にも将来のことは分からないからこそ迷いが出ます。明日がどうなるかも分からないのが人の運命ですが、近いうちに生涯を終えることを前提として住宅の購入を考える人はまずいませんね。同じように、病気で長期入院することや、高い塀に囲まれた別宅で暮らすことを前提に考える人もいないでしょう。明るく健康な毎日を過ごし、少しでも長生きすることを前提として住宅購入を考えたいものです。
また、いまは親と同居していなくても、将来には同居もしくは親の残した家に住む予定であれば、その時点までの収支を試算すれば大丈夫です。自分が高齢になったら老人ホームやケアハウスなどに住む、あるいは海外移住する、退職金で田舎に安い家を買う、という選択肢だってあるでしょうね。
しかし、高齢になっても自分ひとりで、あるいは夫婦ふたりで自分たちの家に住むつもりであれば、超長期にわたる収支を考えてみることも必要です。
はじめにある程度まとまった金銭が必要となる住宅購入ですが、いくつかの試算をまとめると、長期の住宅ローンを組んだとしてもおおよそ30年~35年程度で賃貸と同額の支払いとなります。短期の住宅ローンで金利負担を少なくできれば、20年程度で同じ支払いとなるケースも考えられますね。
これから住宅ローン金利が上昇することも懸念されていますが、購入の敷居が高くなればそれに合わせて家賃の水準も上がることが考えられ、多少バランスが崩れたとしても40年程度では購入と賃貸とが同じ支払いになるでしょう。つまりそれ以上に長生きすればするほど、購入のほうが支払い面ではトクになることに。
さらに忘れてならないのは、賃貸の場合には何十年経っても何も残りませんが、購入した場合には土地ないし住宅が残っているということ。たとえこれから大きく値下がりしたとしても、よほど条件の悪い土地でない限り、マイナスになることはないでしょう。
■ 安易な購入は禁物
史上空前の低金利を背景に、ここ数年は 「住宅の買いどき」 と盛んにいわれ、 「周りの人が買ったから、よし自分も」 という人もいるでしょう。ずっと賃貸に住み続けることのリスクも説明したとおりです。また、金利上昇が懸念されるなか、早いうちに買ってしまおうという人もいるかもしれませんね。
かといって安易な気持ちで住宅を購入することは避けるべきです。いくら 「買いどき」 「超低金利」 「賃貸よりトク」 などといわれようとも、極めて高価な買い物であることに変わりはありません。しかも購入に失敗すれば高価な代償も待っているのです。
住宅の購入にはしっかりとした下準備や基礎知識の習得、そして安全な資金計画が欠かせません。破綻リスクの少ない資金計画を立てるためには、自分の 「本来の収入」 を見極めることも大切ですね。一時的に仕事や事業がうまく回って高収入となった人が、その収入を前提に資金計画を立てたとすれば、早かれ遅かれ破綻に至る可能性が高いものです。
「なぜ家を買うのか」 と問われれば、 「生活の拠点を確保するため」 「老後の安心を得るため」 「大家に気兼ねせず自由に家を使うため」 「子供に残してあげたいため」 、それ以外にも人によってさまざまな理由が見つかることでしょう。もちろん損得勘定だけでは判断できない部分もおおいにあることでしょう。
無理に背伸びをして購入する必要は全くありません。しかし、自分自身の購入環境が整ったとき、それがあなたの 「買いどき」 です。その 「買いどき」 がいつ来るか、人によってさまざまでしょうが、いつ “そのとき” が来てもよいように日頃から準備をしておきたいものですね。
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