住まいのプロが提案「イエコト」/プロが提案!住まいのヒント

人はなぜ家を買うのだろうか?(2ページ目)

住宅を購入するか、ずっと賃貸で暮らすか、都市生活者にとっては難しい選択です。しかし、一生涯賃貸生活だと数億円の費用が掛かるかも! 賃貸の場合と比較しながら、住宅を購入することの意味を考えてみました。

執筆者:平野 雅之


長生きすると、とんでもないことに!?

高齢になってから家賃の心配をすることは避けたいですね。仮にあなたが30歳の既婚者で、いま現在は賃貸住宅に住んでいるとしましょう。もしそのままずっと賃貸住宅に住み続け、100歳まで生きたとしたら? 毎月の家賃が12万円 (共益費等込) だとすれば、70年間の家賃は総額で1億円余りにもなります。しかし、これは家賃の水準が今後も変わらないと仮定した場合のこと。日本経済が一定レベルで成長するようになり、2年ごとの賃貸借契約更新で平均して5千円ずつ家賃が値上がりすると仮定すれば、70年後の家賃は29万円になり、その間の家賃総額は1億7千万円を超えます。

また、地方によって賃貸借契約の慣習なども異なりますが、関東地方などでは2年ごとの契約更新に際して家賃1か月分程度の 「更新料」 の支払いが一般的ですし (いずれ廃止される可能性も高いでしょうが・・・) 、もともと一定期間ごとに引越しできるのが賃貸のひとつのメリットですから、その引越し費用なども考慮に入れると、賃貸にかかる費用の総額は軽く1億8千万円を超えてしまうことになります。

「長生きすると、とんでもないことになる」 なんて書くこと自体がとんでもないことでしょうが、将来に面倒を見てくれる子供がいない世帯、あるいは子供の世話にならずに生きていこうとした場合には、数億円もの家賃が現実問題として降りかかってくることになるのです。


家賃という名の 「借金」

住宅を購入する人の大半は多額の住宅ローンを借り入れます。 「払えなくなったらどうしよう」 「生活が破綻したらどうしよう」 と、住宅ローンを借りることへの不安を感じるのは当然でしょうが、賃貸の場合でも毎月家賃を支払わなければなりません。そして上記のように、賃貸では長生きすればするほど支払い総額が一本調子で膨れ上がっていきます。

購入でも賃貸でも、毎月の支払いに追われることに変わりはないが・・・。もちろん将来の家賃は他所から借りたものではありませんが、支払い義務の面で考えれば 「借金」 と同じだともいえるでしょう。しかも長期で考えれば、購入したときよりもはるかに多額の 「借金」 となってしまいます。

また、万一住宅ローンを返済できなくなれば破綻に繋がりますが、賃貸の場合でも家賃を払えなくなれば部屋を明け渡さなければなりません。引っ越す費用もなければ路頭に迷うリスクは、賃貸だって購入だって同じことです。

さらに、万一あなたが死亡してしまったとき、住宅を購入していれば団体信用生命保険を住宅ローン返済に充て、妻子に住宅を残すこともできますが、賃貸の場合には何も残せません。残された妻子は今までと同じく家賃を払い続けなければならないのです。


将来が分かればカンタンだが・・・次ページへ



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