一戸建て購入/新築一戸建て購入

買うと借りるで、どちらがオトク?

住宅を買うのと借りるのとでは、どちらがトクなんでしょうか。低金利のうちは買ったほうがトクという意見も多いようですが本当のところはどう? いろいろなところで比較検討されているテーマですが、費用の試算とは少し異なる視点で考えてみました。(2015年改訂版、初出:2003年10月)

執筆者:平野 雅之


住宅を買うのと賃貸に住み続けるのとで、どちらがトクなのでしょうか? ずいぶん以前から話題にされ、比較検討がされることも多いのですが、はっきり言ってしまえば「ケースバイケース」あるいは「その人次第」です。

マンションの外観

住宅を買うのと借りるのとで、どちらがトクかは条件次第!

WEBで検索をすればさまざまなシミュレーションが出てきますし、私自身も費用の試算を例示したことがあるものの、そのためには何らかの前提条件や仮定条件が必要です。

そして、それらの条件を少し変えるだけで、違う結論を導くこともできてしまうのです。

今後の日本の経済状態がどうなるのか、不動産価格はどうなるのか、賃料はどう変化するのか、物価水準は……?

あるいは個人のレベルでも、住宅ローンを何年で返済するのか、そこに何年住むのか、何歳まで生きるのか、家族構成がどう変わるのか、転勤や引越しを余儀なくされる可能性はないのか?

数多い要素の中のひとつが変わるだけでも、予測と違う結果になるでしょう。

そこで今回は、少し違った視点から売買と賃貸の現状を考えてみることにします。


購入と賃貸、それぞれの特徴は?

まずは、一般的にどのような場合にどちらがトクなのか、それぞれのメリットをふまえながら考えてみましょう。

【購入のほうがトクなケース】

多めの手持資金または親などからの贈与資金があり、住宅ローンの借り入れ割合が少ない
住宅ローンを返済し終えた後もずっとそこに住むつもり
住宅ローンは借りても短期(おおむね20年以内程度)で返せる
数十年後には現在よりも地価が上がっていると考えられるエリア
将来の家賃相場が現在よりもだいぶ上がると考えられるエリア

【購入のメリット】

老後の住宅不安が軽減される
賃貸物件よりも平均的には建物グレードが高い
賃貸物件よりも選択肢が多い
いざとなれば他人に貸して賃貸収入を得ることができる(物件次第)
将来、子供に残してあげることができる
社会的な信用につながる場合がある
自分の好みに合った内装やリフォームができる
家主の破産で(他人の都合で)追い出される可能性はない

【賃貸のほうがトクなケース】

転勤などで地方に異動する可能性が高い
そこそこ住んだら故郷へ帰るつもり、または親の家に同居するつもり
家族構成が大きく変わる可能性が高い
離婚する可能性が少なからずある
これから地価が下がると考えられるエリア
将来の家賃相場が現在よりもだいぶ下がると考えられるエリア

【賃貸のメリット】

住み替えが容易(1か所に長く住むことが苦手な人向き)
近隣との対人関係トラブルなどがあればそこから離れやすい
長期間の住宅ローン支払いに拘束されない(リスクは少ない)

それぞれのメリットの反対を考えれば他方のデメリットになるでしょう。しかし、いちばん大きいのは老後の問題かもしれません。購入して住宅ローンを支払い終えれば、その後は固定資産税都市計画税管理費修繕積立金(一戸建て住宅の場合はメンテナンス費用)などの負担だけで住み続けることができます。

ただし、住宅ローンを支払い終えたときには建物が老朽化して住めなくなっていた、なんてことにならないよう気をつけなければなりません。購入のメリットを生かすためには、物件の選択を間違えないようにすることも大切です。


売買相場と賃貸相場の関係…次ページへ

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