不動産登記の添付図面として法務局に備えられている地積測量図ですが、すべての土地にこれが作製されているわけではありません。
(愛知県名古屋市 吉四六さん 30代 男性)
すべての土地の登記記録には地積が記載されていますから、それぞれの土地に対する地積測量図もすべて備え付けられているように感じるかもしれませんが、実際には地積測量図のない土地も数多く存在します。
複数の棟が建てられる建売住宅の敷地では、新たに分筆されるケースが多い
実際に地積測量図が提出されるのは、そのほとんどが分筆登記にかかわるものですから、過去に分筆されたことのない土地については地積測量図がほぼ存在していないのです。
さらに、合筆がされた土地についても地積測量図は存在しません。
また、この地積測量図の規定自体は、1960年(昭和35年)の不動産登記法一部改正(法律第14号、昭和35年4月1日施行)によるものですが、その後に数年の経過措置期間があったため、法務局への備え付け体制が整ったのは1963~1965年頃(法務局により異なります)のようです。
したがって、それ以前の分筆であれば、同様に法務局には地積測量図が備え付けられていないことになるでしょう。
なお、分筆による地積測量図の場合には、たとえば2つの土地に分けるときに片方の土地についてのみ測量および求積をし、残る片方の土地については従来の登記簿面積から引き算して面積を求めること(残地法)が認められていました。
したがって、残地法の対象となった土地では仮に地積測量図があったとしても、その面積の信頼性は低いといわざるを得ません。
ただし、2005年の改正不動産登記法施行により、以後の分筆については残地法による面積表示が原則としてできなくなり、分筆後のすべての土地について求積をすることになっています(例外的に省略が認められるケースを除く)。
さらに、土地区画整理を実施した土地については、その後に分筆がされてないかぎり、法務局には地積測量図が存在しません。これは土地区画整理法に地積測量図の提出に関する規定がないことが原因のようです。
それ以外にも、地積測量図を綴じ込んだバインダーを閲覧者が自ら取り外してコピーできる方式を採用していた法務局などでは、まれに地積測量図そのものを紛失している場合、あるいは違う順序に綴じられたまま見つからなくなっている場合もありました。
ただし、近年は地積測量図を含め各種図面の電子ファイル化が進んでいるため、そのような事態が起きるケースは少なくなっているでしょう。
地積測量図とは別に、建物の登記記録に付随する図面として「建物図面」(建物図面および各階平面図)が法務局に備えられています。この「建物図面」も、1960年(昭和35年)の法改正によって規定されたものです。
しかし、実際の整備は地積測量図よりも遅れ、早くて1963年頃、遅いところではおおよそ1967年頃以降のものが保存されているようです。
なお、建物図面は新築・増築などによる登記の際にはほぼすべて提出されていますから、それ以前に建築された古い建物でないかぎり、存在する可能性は高いでしょう。
ちなみに法務局に備え付けられた建物図面は、建物の位置・形状・面積などを表すのが目的の図面であって、建物内部の間取りや構造設備などが分かるものではありません。
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