住宅(土地・建物)を購入したとき、通常はその引き渡しを受けるのと同時に登記の申請をしますが、このときに必要となる税金が登録免許税(国税)です。
住宅購入時に必要な諸費用の一つで、かなり多額の負担を強いられるケースもありますから正しく理解しておきたいものです。今回はこの登録免許税について、住宅購入時の登記を中心に詳しくみていくことにしましょう。
なお、不動産の税金に初めて接すると「登録免許税」と聞いてもなかなかイメージがわかないかもしれません。不動産取得税や固定資産税、所得税、住民税、贈与税、相続税、印紙税などは、その名称からだいたいの中身が想像できるでしょうが……。
「登録免許税」ではなく「登記税」であれば分かりやすいのに、とも考えたいところですが、これは「登録免許税法」が不動産や商業法人の登記ばかりでなく、船舶の登記、航空機の登録、著作権・出版権の登録、特許権・実用新案権・意匠権・商標権の登録、漁業権の登録、弁護士・公認会計士・税理士・不動産鑑定士・司法書士・建築士などの登録、金融機関・信託会社の事業免許、宅地建物取引業・建築業の免許など、50あまりの項目での登記・登録・免許などに関する税金を総合的に規定しているためです。
※ この記事は2018年度税制改正(2018年2月時点で未可決)による適用期限延長予定の内容を盛り込んでいます。
登録免許税が必要な登記
不動産の登記において登録免許税が課税されるのは、新築建物などで最初に行なわれる所有権の保存登記、土地や建物の売買による所有権の移転登記、贈与や相続による所有権の移転登記、住宅ローンの借り入れによる抵当権の設定登記などをはじめとして、不動産の権利に関する登記のほぼすべてです。ちなみに、土地の地番・地目・地積、建物の家屋番号・構造・床面積などを記載する登記記録の表題部を作成するための登記(=表題登記)には、原則として登録免許税が課税されません。
登録免許税の税率
事前にしっかり把握しておかないと思わぬ出費を強いられることも
たとえば売買による所有権移転登記では、2002年度までの税率は5.0%でしたが、改正により2003年4月1日以降の本則税率が2.0%に引き下げられたうえ、さらに軽減措置も適用されています。
ただし、「土地の課税標準を3分の1に減額する特例」および「中高層耐火建築物等の所有権移転登記の税率の軽減措置」は、2003年3月31日をもって廃止されました。
通常の住宅購入時における登録免許税の主な税率は次のとおりです。ただし、住宅用家屋については軽減措置がありますので、次のページをご参照ください。
【本則税率】
□ 所有権の保存登記 0.4%
□ 所有権の移転登記 2.0%(相続による所有権移転登記は0.4%)
□ 抵当権の設定登記 0.4%
【特例税率】(2006年4月1日から2019年3月31日まで)
所有権の移転登記(土地のみに適用)
□ 1.0%(2011年3月31日まで)
□ 1.3%(2012年3月31日まで)
□ 1.5%(2019年3月31日まで)
page1 ≪登録免許税の税率≫
page2 ≪住宅用家屋の軽減税率≫
page3 ≪登録免許税の課税標準≫
page4 ≪登録免許税の計算と納付≫
page5 ≪登録免許税は誰が負担する?≫