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覚えておきたい相続と贈与の基本(4ページ目)

住宅取得資金などに関する特例を正しく理解するためには、まず相続税と贈与税について知っておくようにしましょう。複雑で難解な相続税と贈与税について、ぜひ覚えておきたい基本的な内容をまとめてみました。(2016年改訂版、初出:2005年8月)

執筆者:平野 雅之


贈与税の基本

その年の1月1日から12月31日までの1年間に個人から贈られた財産の合計額のうち、年間の基礎控除額110万円を超える分に対して贈与税が課税されます。ただし、相続時精算課税制度を活用した贈与の場合には別の規定により取り扱われます。

なお、贈与税の税率区分については、相続税と同様に2003年の税制改正により13段階の区分が6段階に簡素化されましたが、2015年1月1日からは逆に9段階へ増えるとともに、最高税率が引き上げられました。

それと同時に、特例贈与財産の制度が導入されましたが、これは直系尊属(父母や祖父母)から贈与を受けた20歳以上の受贈者に対して「特例税率」が適用されるもので、その適用がない財産は「一般贈与財産」となります。

贈与税額=(贈与を受けた財産の年間合計額-110万円)×贈与税率-控除額

【贈与税の速算表】

2014年12月31日まで
贈与税の速算表

2015年1月1日から
贈与税の速算表


贈与財産の評価方法

贈与税を計算する際の評価方法は、現金であればその額面であり、不動産の場合には基本的に相続税の場合と同様になります。

たとえば、通常の取引時価が5千万円の一戸建て住宅を贈与したとき、その相続税評価額が3千万円であれば、この3千万円に対して課税されることになります。


低額譲渡と負担付贈与

たとえば、親が所有する通常の取引時価5千万円の一戸建て住宅を2千万円で子に譲渡したような場合、その差額である3千万円について贈与があったものとみなされます。この場合、相続税評価額との差額ではないことに注意しなければなりません。

また、住宅ローンの残高を引き継いだような場合にも、取引時価と住宅ローン負担額の差額が贈与とみなされます。


相続開始前3年以内の贈与は相続財産に含める

贈与を受けてから3年以内に、同じ相手を被相続人として相続または遺贈による財産の取得をした場合、贈与を受けていた財産の価額(贈与を受けた時点での評価をする)を相続財産に加えることになります。

ただし、贈与時に贈与税の支払いがあった場合には、その者について相続税額から差し引くことができます。


住宅取得資金の贈与には特例がある

父母などからの住宅取得資金の贈与には、一定の非課税枠が設けられています。経済対策など政策的な見地によって非課税枠が見直されることも多いため、この特例を適用しようとする場合には、贈与を受ける年における規定を、事前にしっかりと確認しておくことが必要です。


贈与税の申告

贈与税の申告時期は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までとなっています。納付する贈与税額がある場合には、必要書類を添えて、贈与を受けた者の住所地を管轄する税務署へ申告書を提出しなければなりません。


page1 ≪相続税の基礎控除額と法定相続分
page2 ≪相続税の税率と控除、相続放棄など
page3 ≪不動産の評価方法と相続税の申告
page4 ≪贈与税の基本ポイント≫


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