近年は国内で大きな地震が相次いだり、新耐震基準への適合の有無が税金の軽減措置に影響したりすることから、中古住宅・マンションの建築年に対する関心も次第に高まっているようです。
ただし、新耐震基準が導入された1981年(昭和56年)に完成した建物の場合には、これが適用されているのかどうか、慎重にチェックしてみることも欠かせません。
(埼玉県川口市 大久保さん 30代 男性)
都市部では古い基準による建物も数多く建っている
しかし、建物によっては1982年前半頃の竣工でも、旧耐震基準で建てられている場合が考えられます。
マンションの場合はその規模にもよりますが、それほど大きくない建物でも通常は1年~1年半程度の工事期間が必要です。
したがって、1981年6月に建築確認を受けたとしても、その竣工時期は早くて1982年夏~秋頃となります。1983年以降に竣工したマンションの場合には、新耐震基準による建物である可能性が高いものの、1982年中の竣工では何ともいえないところでしょう。
ただし、1981年5月以前に着工したものの工事が遅延したような場合、あるいは大規模なものなどを想定して考えれば、1983年に竣工した旧耐震基準のマンションもいくつかあるでしょうし、1984年に竣工した旧耐震基準のマンションもないとは断言できません。
ちなみに、2005年度の税制改正により、不動産取得税における中古住宅の特例では、登記上の建築日付が1982年(昭和57年)1月1日以降の建物は新耐震基準に適合しているものと “みなす” ことになっています。
実際には1982年1月1日以降の竣工で新耐震基準に適合しないマンションもあるでしょうが、木造一戸建て住宅などとマンションを分けて考えることの混乱を避けたのでしょう。
ご質問のマンションは新耐震基準が施行された年の10月に竣工しているため、残念ながら新耐震基準が適用される前に建築確認を受けたものだと判断されます。
ただし、「改正法施行以前の段階でも施行予定の基準に沿った内容での指導は行なわれていた」ようですから、必ずしも新耐震基準を満たしていない建物だとはいえません。
なお、1981年5月31日以前に建築確認を受けていても、同年6月1日時点で着工していなかった建物については、建築基準法の規定により原則として新耐震基準が適用されることになったようですが、当時における規定運用の詳細は不明です。
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