権利や承諾などの問題がなくても、技術上の問題で移設が困難なケースも考えられます。移設しようとする電柱と、その両隣の電柱どちらか一方との間隔が長くなり過ぎると、電線のワイヤー張力の問題などが生じますから、移設できる距離が制限されることになります。
さらに、電柱が直線上に並んでいなくて、自分の敷地の前の電柱が屈曲点になる場合などには、移設そのものが難しいケースもあり得ます。
電柱を移設できる可能性が高いもの 〔公道 → 公道〕
〔敷地内 → 敷地内〕 電柱の移設が難しいもの 〔敷地内 → 公道(または私道)〕
〔電線の屈曲点にある場合〕 |
それらのことを踏まえたうえで、問題がなければ管轄の電力会社に依頼をし、協議や調査を実施した後に、最終的な移設の可否が決まることになります。
したがって、もしこれから購入しようとする住宅の前面などに電柱があり、不動産会社の営業担当者が「電柱は移設できますよ」と言ったとしても、それが事前の協議などを経て決定したものでないかぎり、間違いなく移設できるという保証はありません。
なお、前面の公道から同じ公道内への移設の場合、その工事費用として10万円~15万円程度の負担を求められる場合が多いようですが、個人の敷地内へ移設する場合は原則として無償となり、個人の敷地内から公道などへ移設する場合はケースバイケースで異なるようです。
また、自治体によっては電柱移設の形態に応じた助成制度を定めている場合もあるでしょう。
ちなみに、同じように見える電柱でも、電力会社ではなくNTTなど通信事業者が所有して電線が共架されている電柱もあり、このときの依頼先はNTTなどになります。
都市部のマンションなどでバルコニーに接するようにして電柱が立っていることもありますが、このような電柱を移設することはかなり難しいでしょう。
他の部屋のバルコニーやエントランスの前などを避けて移設できる位置があればその可能性はありますが、それができないからこそ現状のようになっているのだと考えられます。防犯面での問題などもあるため、そのような部屋はあらかじめ避けるほうが賢明です。
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