住宅購入の費用・税金/住宅ローンのしくみと選び方

住宅ローンの支払いが苦しくなったら-1-(2ページ目)

十分に検討をして、余裕のある資金計画で住宅を購入した場合でも、その後いつどのような事態に直面するか分かりません。もし住宅ローンの返済が難しくなったらどのように対処すればよいのでしょうか。(初出:2009年6月)

執筆者:平野 雅之


一時的には収入を増やすことも検討

最近の雇用調整や残業カットなどに対応して、副業を認める企業も増えてきているようです。本業の収入減を一時的にしのぐためには、アルバイトなどをからめた夫のダブルワークも考えられるでしょう。

しかし、トータルの労働時間が長くなっても、残業手当のような割増賃金ではありませんから、思うような収入が得られるかどうかは分かりません。それよりもダブルワークが長期になれば、疲労の蓄積から体調を崩すことにもなりかねないので、あくまでも短期的な手段として考えるべきかもしれません。

妻が専業主婦であれば、しばらくパートなどで働きに出ることも考えられます。正社員の求人倍率が低下して社会問題となっていますが、職種にあまりこだわらなければパートの求人はそこそこ見つかるエリアも多いのではないでしょうか。

パートの仕事を探すことよりも、小さな子どもがいる家庭では保育所探しのほうに苦労するかもしれません。仮に子どもを受け入れてくれる保育所が見つかっても、パート収入の大半が保育料に消えてしまうのでは、夫の収入減を補うこともできず、なかなか難しい現実の壁もあるようです。

なお、高収入や効率のよい副業を指南する情報も数多くあるようですが、収入減に直面してから慌てて副業を始めようとしても、なかなか思いどおりにはいかないでしょう。怪しげな副業に手を染めるのも禁物です。堅実な副業をするつもりであれば、収入に余裕のあるうちからその準備を始めておきたいところです。


親からの借金でしのぐ?

収入減が一時的なもので近いうちに回復する見込みがあれば、その間を親や親戚などからの借金、あるいは金銭の贈与でしのぐことも考えられます。

借金の場合には、きちんと借用書を作成したうえで、少額ずつでもその後の返済をしっかり記録しておけば、贈与税などを心配する必要はありません。

また、住宅ローンの支払いに充てるために金銭の贈与を受けたとしても、それが年間110万円の基礎控除額以下であれば、贈与税は課税されません(翌年の申告も不要)。

親が(その年の1月1日時点で)65歳以上であれば、相続時精算課税制度の適用を受けることもできます。ただし、この場合は「住宅取得のため」の贈与ではありませんから、非課税枠の上限は本則の2,500万円となります。

ここで絶対にやってはいけないのは、住宅ローン支払いの不足分に充てるため、消費者金融などから高利のお金を借りること。翌月には間違いなく収入が回復するという確信があるのならともかく、住宅ローンよりも金利の高いお金は、都市銀行のカードローンといえども極力借りるべきではありません。


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