可変性のあるマンションの間取り例
【図1】は典型的なファミリータイプ、2LDK、60m2の間取りです。「夫婦」または「夫婦+子ども一人」という家族構成のファミリーにちょうど良い間取りです。可変性のある間取りの判断材料を図中に記入しました。
(A)……ふすまや引き戸などを多用しているか
(B)……室内に柱があるか
(C)……室内の梁の位置
(D)……寝室のひとつが6畳以上か
ふすま、引き戸の多用でフレキシブルな住まい
図中(A)の部分では、10畳のリビング・ダイニングと洋室2との間が三本引き戸で区切られています。この部分が引き戸やふすまになっていることで、あまり手を掛けずに家族構成の変化にフレキシブルに対応することができます。当初ご夫婦二人で入居されたときは、この3本引き戸を取り払って合わせて15.3畳のリビング・ダイニングとして広々利用したり、洋室の部分をリビングの一角として書斎や趣味のコーナーとして使うこともできます。お子さんが生まれても、しばらくはそのような使い方をされてもよいでしょう。
お子さんが大きくなり、子ども部屋が必要になった時は3本引き戸を元に戻し、洋室3をプライベート空間に戻すことができます。このように、引き戸やふすまを利用した間取りは、大がかりなリフォームをしなくても、住まい方にいろいろ工夫することができます。洋室2はリビングから出入りするので子ども部屋の位置としても適しています。
室内に柱や梁が極力ないこと
図中(B)の部分を見ると、柱が全て住まいの外側に出ており、各室空間は四角形をキープしています。マンションの間取りをいろいろ見ていると、部屋の中の角にどーんと柱型の出ている間取りも結構ありますが、柱型が出ていると、将来の間取り変更に制約が多くなります。室内の天井にでる梁型の例。この写真のように住居の四周(端)にあればあまり支障がない。
将来もずっと使える部屋は?
この間取りでは洋室は二つありますが、図中(D)のように洋室1が6畳以上なので、こちらが老後もメインの寝室になります。「6畳以上」とは、高齢になって車イス生活になったとしても、シングルベッド、机、テレビ、ベッドサイドテーブルをいれて、介助者のスペース、車イスで回転ができるスペースが確保できる、最低限の広さの目安となります。将来的に大きな間取り変更を加えるとしても、リビングダイニング・キッチン・洋室2周りに集中し、洋室1はキープする形になると予想できます。ですので、洋室1とLDの間の天井に梁型が出ていても、あまりリフォームの制約がないと考えられるのです。
二重天井・二重床が基本
間取り変更のしやすさに触れましたが、いずれも「二重床・二重天井」であることが基本条件です。二重床・二重天井についてはこちらの記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。平面だけでなく断面でも検討する
将来的な間取り変更について、プランを見ながら計画を練るのはとても楽しいことだと思います。でも、平面図からは読みとれない、梁の位置など「横断面」からの検討も一緒にすることを忘れないでくださいね。【関連記事】
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