日本国内には数多くの桜の名所がありますが、その中で日本三大桜と呼ばれる場所があるのをご存じでしょうか。三春の滝桜(福島県)、山高神代桜(山梨県)、根尾の淡墨桜(岐阜県)の3カ所で、どこも深い歴史を持ち、花のシーズンにはたくさんの人がお花見に訪れます。
今回は、日本三大桜の中から根尾の淡墨桜(うすずみざくら)をご紹介します。樹齢1500年を越える古木が、令和の時代を迎えても毎年春に美しい桜の風景を見せてくれます。
1500年以上前から咲く長寿の桜、淡墨桜
根尾の淡墨桜(根尾谷淡墨桜、Googleマップ)は、岐阜県の北西部、福井県との県境に近い本巣(もとす)市の山間にある美しい桜の木です。大正時代に国の天然記念物に指定された彼岸桜の古木で、樹齢は1500年を越えるといわれています。1500年前といえば日本国内ではまだ飛鳥時代の前、古墳時代に当たる頃。遙か昔から人々を見守っているということですね。 花の色は、うす桃色のつぼみが満開になるにつれて白に変わり、ピークを迎えた後は「淡墨」という名前の由来でもある淡い墨色に変化していきます。10メートル近い大きな幹から四方八方に枝を伸ばしているさまがとても絵になりますね。
これだけの巨木も昭和20年代には樹勢が衰えかけたり、伊勢湾台風で大きな被害を受け、瀕死の状態に陥ったこともありましたが、地元の方々の熱意で無事甦ることができ、今でも大切にされています。
淡墨桜の周囲を取り巻く桜も美しい
淡墨桜の周囲は淡墨公園として整備され、公園内には淡墨桜を囲むようにたくさんの桜が植えられています。公園内の桜の種類は日本国内でよく見られるソメイヨシノ。彼岸桜である淡墨桜よりは開花のタイミングが遅いことが多いようです。
薄紅色の桜がいっぱいの公園の中にはたくさんの出店が出ていますので、おいしいものを食べながらのんびりとお花見を楽しむことができますよ。
淡墨桜へは、沿線の桜も楽しめる樽見鉄道で行くのがおすすめ
根尾の淡墨桜へ行く場合、車なら岐阜市内から「淡墨街道」と名付けられた国道157号線を大野方面へ向かいます。また鉄道の場合は、東海道線・大垣駅から運行する樽見鉄道に乗車し、終点の樽見駅まで向かいます。樽見駅からは淡墨桜のある淡墨公園まで歩いて15分ほどの距離です。
「淡墨街道」国道157号線は、途中から根尾川沿いに走る片道1車線の快適なドライブルートなのですが、淡墨桜の開花時期は淡墨公園を先頭にして駐車場への長い入場待ちの渋滞が発生します。確実な時間に現地に到着したい場合は、樽見鉄道を使うのがベターです。
この樽見鉄道は、旧国鉄樽見線を引き継いだ第3セクターの鉄道で、列車がのんびりと走ります。筆者が樽見鉄道でのアクセスをおすすめする理由は、渋滞回避だけではありません。車窓から見える沿線の桜がとても素晴らしいのです。 日当(ひなた)駅のホームを覆うような桜並木を初めとして、車窓からあちらこちらで桜を眺めることができます。淡墨桜を訪れるにはぴったりの交通手段だと思うのですが、いかがでしょうか?
淡墨桜の例年の見頃は4月上旬~中旬
淡墨桜は山間にあるため、例年だと4月上旬から4月中旬が見頃ですが、年によっては早まることもあります。本巣市役所のWebサイトに開花状況が逐次掲載されますし、ライブカメラもありますので、常にチェックしておくといいですね。根尾の淡墨桜をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。はるかいにしえの時代から人々を見守ってくれている淡墨桜にぜひ会いに行ってみてください。
淡墨桜へのアクセス
地図:Googleマップアクセス:
<鉄道> 東海道新幹線名古屋駅より、東海道線で大垣駅へ。大垣駅より樽見鉄道に乗車し、樽見駅下車。樽見駅から淡墨公園まで徒歩15分。
<車> 東海北陸道 岐阜各務原(ぎふかがみはら)インターチェンジより、岐阜市内を経て「淡墨街道」国道157号線に入り、根尾へ。淡墨公園に駐車場が整備されています。ただし淡墨桜の開花時期は、国道まで長い渋滞の列が伸びることもあります。
【関連サイト】
◇「名所・旧跡」ガイドで紹介した日本三大桜の記事はこちらです。
- 日本三大桜の一つ、根尾の淡墨桜へ/岐阜
- 日本三大桜の一つ、山高神代桜へ/山梨
- 日本三大桜の一つ、三春の滝桜へ/福島
- 日本三大桜・五大桜はどこにある?一度は見たい桜名所
◇「東海の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで東海地方の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。