本州最果ての岬のまわりで、寒立馬が自由に暮らす尻屋崎へ

旅の途中で良く見かける動物の一つ、馬。農耕、荷物運搬や乗馬など古くから人間ともゆかりが深い動物です。牧場などの柵の中で暮らす馬を見ることが多いですが、日本国内を旅していると大自然の中でのびのびと暮らす馬の風景が見られる所も点在しています。

そんな場所の一つが青森県にある尻屋崎(しりやざき)。白亜の灯台が立つ本州最果ての岬のまわりで、寒立馬(かんだちめ)と呼ばれる馬たちが自由に暮らすさまを間近で見ることができますよ。

今回は寒立馬が暮らす風景が見られる尻屋崎の見どころやアクセス方法などをご紹介します。

 

<目次>
  1. 太平洋に突き出す岬に立つ白亜の灯台が美しい尻屋崎
  2. ゆったり暮らす寒立馬がいる風景を楽しむ
  3. 岬へのゲートの通行可能時間と開門時期には要注意!
  4. 尻屋崎へのアクセス


 

太平洋に突き出す岬に立つ白亜の灯台が美しい尻屋崎

尻屋崎の位置を示す地図

尻屋崎は下北半島の最東端に位置する岬です

尻屋崎Yahoo! 地図情報)は、青森県の北東部、下北半島にあります。青森県の地図を広げてみると右上にある斧のような形をした地形が下北半島で、その半島の右側に突き出た岬が尻屋崎になります。
尻屋埼灯台(1)

尻屋崎に立つ白亜の灯台、尻屋埼灯台。
明治時代からずっと沖合を航行する船の安全を見守っています(2015年4月撮影)

尻屋崎は津軽海峡の東側の入口に当たり、太平洋に面していることから、明治時代初期に東北地方では初めてとなる尻屋埼灯台(岬の名前は尻屋"崎"ですが、灯台の名前は尻屋"埼")が造られました。以来140年の長い歳月にわたり、ずっと沖合を航行する船の安全を見守っています。
尻屋埼灯台(2)

レンガ造りの灯台としては日本一の高さを誇る尻屋埼灯台。ガイドが訪れた日は海に霧がかかっていて、灯台も霧でかすんでいました(2015年4月撮影)

尻屋埼灯台の高さは33メートルでレンガ造りの灯台としては日本一高い灯台です。その外観から「白亜の灯台」という言葉がぴったり当てはまり、日本の灯台50選にも選ばれました。なお灯台内部は公開されていないので、外周からその姿を望む形となります。

 

ゆったり暮らす寒立馬がいる風景を楽しむ

寒立馬(1)

尻屋崎周辺で暮らす寒立馬(2015年4月撮影)

尻屋崎の周辺には、寒立馬と呼ばれる馬たちが放牧されています。馬の放牧というと、柵で囲まれた牧場の中で行われている……というイメージがありますが、尻屋崎の場合はちょっと雰囲気が違います。
寒立馬(2)

岬へ向かう道路上で目の前に現れた寒立馬(2015年4月撮影)

尻屋崎では、灯台のある岬周辺や車が走る道路上など自由気ままにうろうろしています。初めて訪れた方はその光景にびっくりされることも多いでしょう。
寒立馬(3)

尻屋崎の園地を歩いている寒立馬(2011年7月撮影)

実は尻屋崎周辺すべてが馬の放牧場となっていて、その中に観光客を含めた人間がお邪魔しているという形なのです。
尻屋崎へ向かう道路に設けられたゲート

尻屋崎へ向かう道に設けられたゲート。春から秋の日中だけ開放され、通ることができます。ゲートの先は岬も含めてすべて寒立馬の放牧地です(2015年4月撮影)

そのため、岬に向かう道路にはゲートが設けられていて、馬がその外に出ないように考慮されています。
寒立馬(4)

南部馬の血を受け継いだ寒立馬(2011年7月撮影)

尻屋崎に寒立馬が暮らすようになった歴史はかなり古く、江戸時代に南部藩(現在の岩手県)主導で民営の放牧場を設けて南部馬を育てたのが始まりとされています。

その後、冬の厳しい寒さや餌となる植物が少ない状況で農耕馬として育てるため、南部馬をモンゴル馬やロシア馬と掛け合わせて品種改良して寒立馬が誕生しました。以来、農耕や乗馬向けなどの目的で飼育が続けられています。
寒立馬(5)

津軽海峡に面した海が見える園地で暮らす寒立馬の親子(2011年7月撮影)

下北地方では春~秋だけでなく、雪が積もる冬も馬は外で放牧されていました。寒立馬もこの伝統を引き継ぎ、1年中外で放牧されています。
寒立馬(6)

尻屋埼灯台をバックに草をはむ寒立馬(2011年7月撮影)

寒立馬は広大な尻屋崎の中を自由気ままに動いているので、ある時は尻屋埼灯台の近くにいたり、またある時はゲート近くにいたりします。なので、どこで出会えるか……というのも楽しみの一つになります。
寒立馬(7)

寒立馬はある程度人には慣れていますが、過度に近づかないこと。
写真を撮る時はフラッシュを必ずOFFに(2015年4月撮影)

注意事項としては、ある程度人には慣れていますが、寒立馬に直接触ったり、馬の背後に立つことなどは大けがする危険がありますので厳禁です。あくまで寒立馬が暮らしている風景を近くでそっと見守るという姿勢で楽しみましょう。

 

岬へのゲートの通行可能時間と開門時期には要注意!

寒立馬の越冬放牧地「アタカ」の案内図

寒立馬の越冬放牧地「アタカ」への案内図。
岬へのゲートと灯台の位置関係もわかります(2015年4月撮影)

尻屋崎周辺すべてが寒立馬の放牧場なので、灯台近くへ行く道のゲートを通過できる時期と時間があらかじめ決まっています。ゲートが開いているのは4月~11月までの日中の時間帯のみ(4月:午前8時~午後4時、5月~11月:午前7時~午後5時)です。時間を過ぎてしまうとゲートから出られなくなってしまいますので、注意して下さい。

冬になると寒立馬は尻屋地区に近いアタカに集められて越冬しますので、1月~3月の間はアタカまで行けば寒立馬を見ることができます。

なお青森市内や八戸から尻屋崎までは一般道で100km以上の距離があるので、日帰りでの往復は移動距離が長く、時間の余裕がなくなり、慌ただしい観光となってしまいます。車で1時間前後の距離にあるむつ市内や下風呂温泉郷など、下北半島の中で宿泊することをお勧めします。



本州最果ての岬で自由に暮らす寒立馬の姿が見られる尻屋崎をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。下北半島には本州最北端でありマグロで有名な大間崎や、断崖絶壁が続く仏ヶ浦などたくさんの観光地がありますので、たっぷり時間を取って出かけてみて下さい。

 

尻屋崎へのアクセス

八戸・青森と下北・大湊を直通するJRの快速「しもきた」

八戸・青森と下北・大湊を結ぶJR快速「しもきた」

地図:Yahoo! 地図情報
アクセス:
<鉄道>
東北新幹線 八戸駅下車。青い森鉄道 青森方面行きの列車に乗り換えて野辺地(のへじ)駅へ行き、JR大湊線の列車に乗り換えて下北駅下車。下北交通バス むつバスターミナル行きに乗車し、むつバスターミナルから尻屋崎行きバス(1日3往復、日曜祝日は1日2往復、5月~10月のみ運行)に乗り換えて終点下車。※4月は尻屋行きバスに乗車し、尻屋崎口バス停下車、尻屋崎まで徒歩約30分。
尻屋崎行きのバスの本数が少ないので、レンタカー(むつ市内から約32km)や、観光バス「ぐるりんしもきた号」(5日前までに事前予約要)を利用した方が良いでしょう。
なお、八戸から大湊線へ直通する快速「しもきた」、臨時快速「リゾートあすなろ下北」も運行されています。

<高速バス>
バスタ新宿から下北を結ぶ夜行高速バス「しもきた号」(国際興業バス運行、新宿発木曜・金曜・土曜のみ、むつ発金曜・土曜・日曜のみ)で下北駅バス停下車。下北駅以降は<鉄道>に準じます。
「ようこそ尻屋崎へ」の絵看板

「ようこそ尻屋崎へ」の絵看板。
この絵が見えると、あと少しで尻屋崎です(2015年4月撮影)

<車>
東北自動車道 安代ジャンクションから八戸自動車道 八戸北インターチェンジへ向かい、国道338号線に入る。東通村から案内看板に従って県道248号線、県道172号線、県道6号線と進み、尻屋崎へ。
青森からは国道4号線で野辺地へ出て、国道279号線でむつ市内へ行き、県道6号線で尻屋崎へ。
灯台の近くとゲートの入口に駐車場があります。
なお、八戸からは一般道を約110km、青森からも一般道を約130km走る必要があり、かなりの時間を要します。
また函館から大間までの津軽海峡フェリーを利用して、大間崎経由で行く(大間崎から約65km)こともできます。
走行距離や移動時間については、下北ナビに掲載されている下北半島ドライブマップが参考になります。

【関連サイト】
「東北の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで東北地方の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。