青森の美術館

東北新幹線が新青森まで延伸し、青森は遠い場所ではなくなりました。わずか3時間強で行ける青森、早起きすれば(非常に大変ですが)日帰りでも行ける場所です。

青森という土地は、棟方志功に始まり、寺山修司、そして現代では奈良美智など多くの芸術家を輩出してきた土地。そして、このごろはアートが熱い!ということで、青森のおすすめ美術館をピックアップしました。

INDEX
(1) 青森県立美術館 
(2) 十和田市現代美術館
(3) 三沢市寺山修司記念館
(4) 青森公立大学 国際芸術センター青森
(5) 棟方志功記念館
(その他)青森の回り方


青森県立美術館(青森市)
~青森ゆかりの作家たちの作品がそろう

青森県立美術館undefined外観

青森県立美術館 外観

新幹線の終着駅、新青森駅から車でわずか10分、日本最大級の縄文集落跡である三内丸山遺跡の隣にある青森県立美術館は建築家、青木淳によって設計されました。遺跡発掘跡に着想を得て設計された美術館の展示空間は、細かく区切って掘られたトレンチ(遺跡発掘現場にできた溝のこと)のように幾何学模様に切り込まれ、白い建物壁との対比が印象的。

2006年の開館から青森の芸術風土を世界に発信するため、棟方志功や寺山修司、奈良美智に成田亨など青森出身のアーティストの作品を収蔵、展示しています。
メートルundefined奈良美智「あおもり犬」

高さは約8.5メートル 奈良美智「あおもり犬」

そのなかでも奈良美智「あおもり犬」は、この美術館のシンボル。うなだれ気味ですがそこがなんともいえずかわいらしい。冬にはあおもり犬の頭に雪がつもり、帽子をかぶっているように見えます。

ちなみに、上の写真には登場していませんが、あおもり犬の正面に「えさ皿」の形のベンチもあります。ゆっくり座ってあおもり犬を観賞できますよ。
木が集まって森になるundefined青森県立美術館undefinedVIマーク

木が集まって森になる 青森県立美術館 シンボルマーク

また、美術館を散策すると目にするのが、矢印のようなシンボルマーク。これは、青森の「a」と木をモチーフにしたもの。木がたくさんあつまり、森のように育ってほしい、という思いから、美術館ではシンボルマークをデザインに使うときは、複数によるパターンとして使用することも多いそうです。
シンボルマークの森がになってほのかに光る 夕方のメインエントランス

シンボルマークが森になってほのかに光る 夕方のメインエントランス

メインエントランスの壁面に飾られたネオンのシンボルマークは、夕方になるとライトアップ。美術館は昼間とはまた違った雰囲気に変身します。閉館30分後までライトアップは続くそうなので、美術館で閉館ギリギリまでじっくり作品を鑑賞してからでも十分楽しめます。

ちなみに、美術館の案内板(サイン)に用いられている文字(フォント)やピクトグラム(トイレのマークなど、わかりやすい絵で描かれた記号のこと)は、この美術館オリジナルで作られたもの。美術館に行ったときは、こちらもチェックしてみてください。
青森県立美術館undefinedミュージアムショップ

青森県立美術館 ミュージアムショップ

ミュージアムショップ、カフェもそれぞれオリジナルのグッズ、メニューをご用意。カフェからは、あおもり犬と同じ、奈良美智によるコミッションワーク「八角堂」を眺めながら、ゆっくりした時間を過ごせます。


<DATA>
住所:青森県青森市安田字近野185
TEL:017-783-3000
開館時間:
10月1日~5月31日 9:30~17:00 (入館は16:30まで)
ネオンサインライトアップ 16:00~17:30
6月1日~9月30日 9:00~18:00 (入館は17:30まで)
ネオンサインライトアップ 17:00~18:30
休館日:毎月第2、第4月曜 (祝日の場合は開館、翌日休館)、展示替期間など臨時休館も有
入場料:一般510円、高校生300円、小中生100円
公式サイト


十和田市現代美術館(十和田市)
~街全体が現代アート

八戸と新青森の間に開業した東北新幹線の新駅、七戸十和田駅から車で約20分、キューブ状の建物が連なる美術館が見えてきます。こちらが十和田市現代美術館です。
十和田市現代美術館外観

桜満開の頃(ゴールデンウイーク前後)の訪問がおすすめ 十和田市現代美術館外観

十和田市は、「Arts Towada(アーツ・トワダ)」という、官庁街通り全体をひとつの美術館として盛り上げよう!という街づくりを行っています。その通りの真ん中にあるのが、十和田市現代美術館。2010年にグランドオープンしたばかりの「Arts Towada」ですが、すでに国内外から多くのアート好きが十和田市を訪れています。
十和田市現代美術館

草間彌生『愛はとこしえ十和田でうたう』 ©Yayoi Kusama

美術館向かいにあるアート広場には、草間彌生による『愛はとこしえ十和田で歌う』。キノコやかぼちゃ、地面には水玉が敷き詰められています。
十和田市現代美術館

インゲス・イデー『ゴースト』 ©Sadao Hotta
ちなみに、右側のキューブ型の建物は西沢立衛設計の公衆トイレ

『愛はとこしえ十和田でうたう』のそばにいる白いオバケはドイツのインゲス・イデーによる『ゴースト』。アート広場にはこのほかにも大型のインスタレーション(素材を使って「場所そのもの」を作品としたもの)や、通りにもアーティストが制作したベンチがあり、アートにあふれた一帯になっています。

また、地元の商店街も企画展に連動し店頭を飾るなど積極的に試みに参加。2010年の「Arts Towada」グランドオープンのときは、たくさんの商店の店頭が草間彌生の水玉模様に染まりました。十和田の街をめぐってから美術館に行くか、美術館を見てから街を歩くかはお好みで!

美術館に足を踏み入れると、ブロック状の展示室がならび、それぞれがガラスの廊下で繋がっています。この建物は、近年は豊島美術館などを手がけた建築家・西沢立衛が設計したもの。「各展示室にアーティスト一人」という原則に基づき、国内外の21名のアーティストによる作品が恒久設置されています。
十和田市現代美術館

ロン・ミュエク『スタンディング・ウーマン』
Courtesy Anthony d’Offay, London © Mami Iwasaki

展示室に入ると思わず息を飲むのがロン・ミュエクの『スタンディング・ウーマン』。4mもの大きな、そしてリアルな女性の像です。
十和田市現代美術館

アナ・ラウラ・アラエズ『光の橋』 © Mami Iwasaki

スペインのアーティスト、アナ・ラウラ・アラエズの『光の橋』。光と音につつまれた六角形トンネルをくぐり、五感をフルに使って作品を体験します。

うれしいことに、2017年10月より一部の展示を除いて、常設展示室も撮影OKとなりました! 感動をぜひ写真におさめてください。


光がたっぷりと降り注ぐカフェには、東京生まれで、現在は世界各地で精力的に活動する台湾人アーティスト、マイケル・リンのペインティングが床面に。このペインティングは南部地方(十和田市など、青森県東南部のこと)の織物、南部裂織から着想を得たものだそう。敷物の上でくつろいでいるような気分でゆったりと時間を過ごせます。
十和田市現代美術館

マイケル・リン『無題』
 

十和田市現代美術館

オリジナルグッズは、トートバッグやTシャツなども人気

また、オリジナルのグッズも充実。オリジナルの絵はがき(写真左手前)や、クリアファイル(写真左、奥)のほか、なんと美術館オリジナル切手(写真中央、奥)も! 美術館のシルエットをプリントしたマグカップ(写真右)は建物好きに喜ばれそう。

カフェでのんびりしながら、オリジナル絵はがきに手紙を書き、そのままオリジナル切手を貼って投函。ちょっと嬉しい青森土産になりそうです。

<DATA>
住所:青森県十和田市西二番町10-9
TEL:0176-20-1127
開館時間:9:00~17:00(入館は30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は開館、翌日休館)
入場料:一般500円,高校生以下無料
公式サイト



三沢市寺山修司記念館(三沢市)
~時代を超えて支持されるノンジャンルの天才

寺山修司

寺山修司

歌人であり俳人、劇作家でもあり、小説も書く。映画も作れば、写真も撮り……。ありとあらゆる分野に秀で、多くの人々を惹き付けながらも、肝硬変でわずか47歳で亡くなった寺山修司。

三沢市寺山修司記念館は、昭和の文化を牽引した寺山修司の膨大な作品群にまつわる品々が数多く収蔵、展示されています。
寺山修司記念館undefined外観

三沢市寺山修司記念館 外観

東北新幹線の全線開通とともに開業した「青い森鉄道」の三沢駅から、車で15分。

寺山修司記念館は、展示棟とホワイエ棟が連なる建物。寺山監督の映画『田園に死す』の美術を担当したグラフィックデザイナー粟津潔のデザインをもとに建設されました。ホワイエ棟の外壁には、生前に寺山と交流があった人々のメッセージや、寺山作品にちなんだ陶板がはめこまれています。

常設展示は少し変わったスタイル。寺山修司の作品に数多く出てくる「机」の引き出しのなかに、原稿や生前の愛用品などが配置されています。訪問者は、自分で引き出しを引き、中のものを覗き込みます。まるで寺山の机を覗いているような気分です。
常設展示室の舞台下の展示机

常設展示室 舞台下の展示机

また、館内には、寺山の劇団、天井桟敷の舞台美術や、映画の舞台を再現。
寺山修司記念館undefined常設展示室の舞台上(1)

常設展示室の舞台上(1)

常設展示室の舞台上(2)

常設展示室の舞台上(2)

当時、日本のみならず、世界中で話題となった独特の幻想世界を体感できます。
寺山修司undefined文学碑

寺山修司 文学碑

また、美術館の裏手、三沢市民の森公園には寺山修司文学碑があります。本の形をした碑には寺山の短歌が三首。その前には、寺山が監督した『トマトケチャップ皇帝』に登場したビクター犬がたたずんでいます。

寺山修司だけでなく、昭和30年代から50年代までの昭和の文化、風俗、アートに興味のある方は、必ず楽しめるはず!

<DATA>
住所:青森県三沢市大字三沢字淋代平116-2955
TEL:0176-59-3434
開館時間::9:00~17:00(入館は30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は開館、翌日休館)、年末年始
入場料:一般300円,大高生100円、小中生50円
公式サイト



青森公立大学 国際芸術センター青森・ACAC(青森市)
~世界中のアーティストが集う場所

展示棟外観

展示棟外観

「アーティスト・イン・レジデンス」をご存知ですか? 芸術家の制作活動のためにつくられた滞在施設です。単なるアトリエとしてではなく、地域の人々とアーティストたちとの交流によって、地域に新しい文化を生み出すことを目標としています。世界中にこの 「アーティスト・イン・レジデンス」があり、さまざまなところで創作活動が行われています。

日本にも複数の「アーティスト・イン・レジデンス」がありますが、その一つがこの国際芸術センター青森(通称ACAC)。現在も、世界各国のアーティストが滞在し、思い思いの制作活動を行っています。
四季のアーケード

四季のアーケード

センターへの入口は長い「四季のアーケード」を通ります。木組のこのトンネルの全長は120m。その名のとおり、季節によって表情を変えていきます。

周囲を林に囲まれたこのセンターは、建物を森に埋没させる「見えない建築」をテーマに建築家・安藤忠雄が設計したもの。訪問者は滞在しているアーティストの創作活動を見学することができます。また、ギャラリーでは、滞在アーティストの最新作を見ることもできます。
展示棟ギャラリーA内観

滞在中の作家が、思い思いの作品を創り上げる

滞在している作家本人による作品レクチャーなども頻繁に行われており、とても刺激的。アーティストが、普段どのように考え、そしてどのように制作をしているのかに興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。

<DATA>
住所:青森県青森市合子沢字山崎152-6
TEL:017-764-5200
開館時間:9:00~20:00(展覧会会期中及び冬期期間は別途設定のため要問い合わせ)
休館日:毎月第3日曜(展覧会会期中は無休)、ギャラリー部分は展示替期間、年末年始
入場料:無料
公式サイト



棟方志功記念館(青森市)
世界が認めた棟方「板画」の世界

四季折々で表情を変える庭園もundefined棟方志功記念館undefined外観

四季折々で表情を変える庭園も 棟方志功記念館 外観

「わだば(私は)ゴッホになる」と宣言して青森から上京、力強く素朴な板画(棟方志功は木版画を板画と呼びました)で、世界中を魅了した板画家・棟方志功の記念館が、東北新幹線新青森駅から車で20分の場所にあります。

代表作である『釈迦十大弟子』のほか、棟方志功が描いた肉筆画、倭画(やまとが)や、書、スケッチなどを多数収蔵しており、年に数回の展示替を行っています。
棟方志功の像もundefined棟方志功記念館undefined館内

棟方志功の像も 棟方志功記念館 館内

記念館の前庭は池泉回遊式庭園となっており、秋には美しい紅葉を見ることができます。

ちなみに、記念館で来場者が押すことができる記念スタンプも棟方志功の板画を元にしたもの。素敵なデザインですので記念にぜひ押していってください!

<DATA>
住所:青森県青森市松原2-1-2
TEL:017-777-4567
開館時間:9:30~17:00 分(ねぶた期間中は9 :00~)
休館日:月曜(祝日及びねぶた期間は開館)
入場料:一般500円、大学生300円、高校生200円、小中生無料
公式サイト


青森市内はバスを上手に使うのがおすすめ

東北新幹線の終着駅新青森駅と、従来のターミナル駅である青森駅、そして青森県立美術館、棟方志功記念館、そして三大丸山遺跡などを巡回する、「あおもりシャトルdeルートバスねぶたん号」(一回乗車:一律200円)を利用すると、スムーズに青森市の美術館や遺跡を巡ることができます。

また、青森県立美術館と、三内丸山遺跡の間にも無料シャトルバスが運行しています。こちらも活用すると、サクサク観光がすすみます。

とはいえ、壮大なスケールの青森県。東北新幹線が全線開通して、東京から日帰りも可能になりましたが、一日で美術館を全部回るのは非常に困難。できれば、ゆっくり泊まって美術館巡りをすることをおすすめします。

青森は、さまざまなジャンルの美術館が多数あります。新幹線が開通し、日帰りも可能ですができれば、時間をかけてゆっくり回られることをオススメします。温泉はもちろん、山の幸、海の幸も豊富ですよ!


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。