損害保険/火災保険の基礎を学ぼう

火災保険の改定で火災保険料率はどう変わった?(2ページ目)

火災保険の改定が、主な損保各社で2010年1月に実施されています。なかには火災保険料が値上がりするケースもあり、家計の影響を考えると気になるところです。各社の火災保険の改定を比較しながらどう変わったのかを解説します。

平野 敦之

執筆者:平野 敦之

損害保険ガイド

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火災保険料が値上がりする物件は?

火災保険料が値上がりする物件は?


■火災保険料の改定
ここまでお話した改定などから継続する火災保険料も変わってきます。保険目的の所在する所在地や構造によって値上がり、値下がりがあります。すでに改定が行われたいま、改定後の保険料での契約になります。

■火災保険商品構成の改定
火災保険は自動車保険のように完全に各損保社の独自商品という構成にはなっていませんでした(一部損保除く)。

そのため住宅物件のラインナップは住宅火災保険、住宅総合保険、各社独自の新型火災保険という以前からの火災保険と新しい火災保険が混在していました(共同住宅には団地保険もありました)。

こうした商品構成を見直しも今回行われています。これについても損保ごとに対応が分かれていて例えば従来の住宅火災保険や住宅総合保険を廃止して自社の新型火災保険に一本化するケースと従来型の火災保険を残しているケースがあります。

いずれの場合でも基本新型火災保険をメインにする方針であることに各社変りはないようです。

ただしこの改定で火災保険料が値上がりしたというような場合、構造区分などのことだけではなく、商品の廃止により継続後の火災保険が違うものになることもあるわけです。火災保険の補償内容に違いがないか、またどう変わっているのかをしっかり確認してください。

■保険法に関連・付随する改定
2009年4月に新たに保険法が施行されます。生保損保を含めて保険業界全体においてこの保険法の施行によって保険募集のあり方が変わってきます。

これによって各保険会社は保険法に対応した商品内容に切り替えていく必要がでてきます。
火災保険については1月から改定されましたので、4月からの保険法に対応するために保険約款や保険募集に関連する事項についても改定されています。

火災保険の改定で値上がりする物件、値下がりする物件

今回の火災保険改定で、値上がりする物件、値下がりする物件について具体的にみてみましょう。前述のように住宅物件の場合、改定前の構造区分がA構造、B構造、C構造、D構造だったものが、改定後はM構造、T構造、H構造の3区分になっています。

この改定で最も値上がりするのは、外壁がコンクリートの木造建物や土蔵造建物などです。つまり構造区分で、住宅物件B構造・一般物件で2級であったものが改定後にH構造、3級になるケースです。

これらについては値上げの影響が大きいため、激変緩和のための経過措置料率を適用しています(期間は未定)。また今回地震保険料率の改定は行われていませんが、構造級別区分の改定によって影響を受けるケースがあります。

例えば省令準耐火構造の建物です。従来省令準耐火構造建物は、本来火災保険の住宅物件ではC構造の判定となるものが、省令準耐火構造建物であることによってB構造の料率が適用されていました(但し地震保険の料率は木造のロ構造(木造)に該当)。

これが今回の改定で地震保険の構造区分がイ構造(非木造)になるため地震保険に加入していた人は保険料が安くなります(非木造の方が木造より保険料は安いため)。

逆に前述の外壁コンクリートの木造建物・土蔵造建物は改定前の地震保険はイ構造(非木造)でしたが、これがロ構造(木造)となりますので、地震保険加入者は特に大きな影響があります。

長期契約の火災保険に改定はどう関係する?

火災保険の場合、20年や30年などの長期で契約している人も多いと思います。保険契約は契約時の保険約款を基準にしますから、今回の改定で補償内容がいきなり変ったりすることはありません。

損害保険ガイドから今日のポイント

2010年の火災保険の改定は保険料の値上がり、値下がりという単純なものではない。自分の火災保険が契約後どのように変わるのかよく確認しましょう。

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