ナスカより古いパルパの地上絵
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ナスカでもっとも多いのはこのような直線や幾何学模様だ。右下にミラドールがあり、「木」や「手」が写っているはずだが、小さすぎて見えない。図形がいかに大きいかわかる ©牧哲雄
この時代の地上絵には一筆書きではないものも多く、その技術はナスカに比べてよくいえば自由だが、確立されていない印象を受ける。ここから、パラカス人がなんらかの理由で乾燥地帯であるナスカに移動し、有名な地上絵に発達させたのではないかといわれている。
地上絵はチリのアタカマ砂漠などでも発見されているし、チャビン文化などの土器の文様とナスカの地上絵の共通点も指摘されている。地上絵の世界観はいまだ謎に包まれているが、いずれ南米のどこかでその源流となる決定的な発見がなされるかもしれない。
消えゆく地上絵
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全長46mの「クモ」。地上絵は他に「クジラ」「トカゲ」「アルカトラズ」「イグアナ」「植物」などがある ©牧哲雄
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マリア・ライヘ博物館にあるマリア・ライヘの墓。彼女がいなければ地上絵はさらに破壊されていたといわれる ©牧哲雄
実は太平洋岸の遺跡はほとんどこの影響を受けている。ナスカとフマナ平原の地上絵も例外ではない。地上絵が危機遺産に登録される日も遠くないのかもしれない。