地上最大の謎 ナスカとフマナ平原の地上絵
均整のとれた美しい姿で魅せる全長120mの「コンドル」。他の地上絵も同じだが、名前は推測で、本当にこの絵がコンドルかどうかはわからない ©牧哲雄
今回は謎に包まれたペルーの世界遺産「ナスカとフマナ平原の地上絵」に迫ってみよう。
展望台からでも見えない巨大な地上絵
ミラドールと「木」。左上が根で、右下に枝を広げている。右下がミラドール。ミラドールは考古学者マリア・ライへが地上絵を保護するために建てた塔 ©牧哲雄
高さ20mのミラドール ©牧哲雄
しかしミラドールからだと、「木」の全体が見えるには見えるのだが、絵が大きいのでかなり斜めからの眺めになってしまう。はじめから「木」といわれなければ何がなんだかわからない。全体像をしっかり見たければ、やはり空から眺めるしかない。地上絵は20mの高さから見ても気をつけなければわからない。それほどに、大きい。
地上絵が描かれたのを紀元500年とすると、ポール・コソックが発見するまで約1,500年間も地上絵が忘れ去られていたことになる。それはそうだろう。ナスカのパンパ(平原)を歩いても、線にあたる部分は表面の砂が削られて、下の白い砂がちょっと出てしまった程度にしか見えない。数百メートル規模の絵が描かれているなんて、想像できるはずもない。
わかりにくいが、ミラドールから見た手。左から右に向かって2本の手が広がっているが、なぜか指は4本しかない ©牧哲雄
だからナスカ文化以降の人類は地上絵を忘れ、そんなものがあるとも知らずに道路を建設し、地上絵のドまん中に道路を通してしまった。ミラドールから見える「トカゲ」は、体のまん中をパン・アメリカン・ハイウェイにつぶされて、ほとんど消えている。