ジャングルの中の絶景、複合遺産「ティカル国立公園」
ジャングルに突き出すピラミッド群。鳥や猿といった野生動物たちの鳴き声がいつも響いている ©牧哲雄
ゲートをすぎると周囲は鬱蒼と茂るジャングルで、木々の中はまっ暗で何も見えない。見えないけれど、キツツキの出すようなコツコツコツコツという音や、サルの咆哮、葉っぱがガサガサ揺れる音があちこちから響き渡り、多くの動物の息遣いが聞こえてくる。
IV号神殿から見たジャングル。左側にI号とII号神殿がほぼ重なって見え、その右にIII号神殿、さらに右側にロスト・ワールドの神殿も見える
日の出を見たあとピラミッドを降りると、周りには多くの動物が集まっていた。しっぽを立てたハナグマの群れ、アルマジロ、ホエザル、やたらめったら派手な鳥(おそらくグアカマヤ)の群れ、リス、それ以外にも数々の野生の動物が姿を見せた。
動物や魚ってめったに見ることができないものだと、日本では思っていた。でも、たとえばメコン・デルタでもアフリカ東海岸でもアマゾンでも、川を見れば魚がいて、木々を見れば実がなって、空を見れば鳥が飛び、大型動物もよく姿を現した。もともと動物なんてどこにでもいるものなんだ。ジャングルは、そんな当り前に気づかせてくれる。