ネロ少年が夢見た名画を収蔵! 昼も夜も美しい、聖母大聖堂
123 mètresの優美な塔が町を見下ろす
昼も夜も美しい聖母大聖堂©Toerisme Antwerpen
とはいえネーデルランド最大級の大聖堂として、今も貫禄は十分過ぎるほど! 123メートルの高さの優美な塔は町のランドマーク的存在です。鐘楼は05年に世界遺産にも指定。そんな見事な外観に満足してしまい、内観を見ずに町を立ち去ってしまうことのないようにしてくださいね。
大聖堂の主役『マリア被昇天』
かつて聖堂内では、『キリストの降架』と『キリスト昇架』の両作品の前に厚いカーテンが覆われており、銀貨を払った人だけに公開が許されていました。物語の中でもネロは「きっとルーベンスは、貧しい人に絵を見せたくないなんて思わなかったはずなのに」と悲しみます。『フランダースの犬』の原作者である英国の女性作家ウィーダは、実際に前世紀中盤まで行われていたこの悪しき習慣を、物語の中でネロ少年を通しさりげなく告発しているのです。
彫刻が見事な木の説教台
7身廊と125の柱を持ち、バロックとネオクラシック様式が絶妙に混在する大聖堂内部は、他にも宗教芸術の傑作を多く所蔵します。教会なのに入館料がやや高め(5ユーロ)なのは、そこらの美術館顔負けの品揃えだからとも言えるでしょう。
避けては通れないのが、聖堂中央にある柏の木でできた「真実の説教台」。ベルギーの教会にはこのような木の説教台が多く見受けれられますが、中でも本作はバロック風の彫刻が見事な国を代表する傑作です。1713年に作られたもので、当時知られていた4大陸へのキリスト教の布教をテーマにしています。鳥やリスたちさえも説教に耳を傾けます。
神戸にレプリカが贈られた聖母子像
他にもフィリップ善良公を描いた16世紀のステンドグラス、3人の有名彫刻家による共作の17世紀のパイプオルガン(運が良ければ演奏も聞けます。CD販売もあり)、「マリア被昇天」が描かれたコルネリス・スフート作品のクポール(丸天井)なども見逃せません。本大聖堂はベルギー最大の歴史的建築物と見なされているとおり、とかく内部面積は約1ヘクタールと広大。聖堂内のあちらこちら(というより上下左右!)にお宝がありますので、最低1時間は時間をとり、ゆっくりと見学することをお勧めします。
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■Onze-Lieve-Vrouwekathedraal
住所:Handschoenmarkt
TEL:32 (0)3 213 99 51
開館時間:月~金曜10:00~17:00、土曜10:00~15:00、日曜祝日13:00~16:00、祝日前日10:00~15:00
入館料:5ユーロ、12歳以下は無料