珠玉のヴィンテージブレンド、作品本数は732本のみ
まずはじっくり見ていただこう。
スタイリングは、まるでシャンパーニュ。それも完全にプレスティージュ・レヴェルの特別なシャンパーニュにみえる。
なんともエキゾチックなイメージ。ボトルの重厚感はさすがだ。 |
ラベルには「Grande Cuvée」の文字。特別の発酵槽から生まれた偉大なるワイン・・・の意味を持つ言葉だ。
白ワインの王といわれるモンラッシェやコルトン・シャルルマーニュでも入っていそうなバルーングラスに注がれている。
しかし、実はこれ、日本酒。
福島県二本松の「大七酒造」が7月7日に発売した「妙花闌曲(みょうからんぎょく)Grande Cuvée(グラン・キュヴェ)」だ。
ボトルサイズは日本酒としては珍しい750mlのワインサイズで、価格は20,000円。
『最高級の生もと純米大吟醸・雫原酒の、1989年(平成元年)から2004年にわたる大切な貯蔵酒の中から、選りすぐりの複数のヴィンテージを融合させることによって実現しました。大切な稀少年度の貯蔵酒を惜しみなく使用して2007年に完成したのが珠玉の732本。次回グランド・キュヴェを試みることが出来るのは、2012年前後になると思われます』(大七公式HPより)
日本酒初の発想“マルチ・ヴィンテージ”
私の手元に届いたのはサンプルの小瓶。そりゃ、お高い商品ですからねぇ・・・。 ラベルにはきちんと「Grande Cuvée」の文字。 |
で、テイスティングさせていただいた。
色は、ほんの少し山吹色がかった透明度の高いクリアな色。熟成酒とは思えない若々しいニュアンスを感じる。
香りは、ヨーグルト、ミルクキャンディー、キャラメルなど乳製品のコクのある甘い香りと、アーモンドやカシューナッツのような香ばしい香り、ドライアプリコットやドライアップル、ドライパパイヤのような凝縮したドライフルーツの香り、キャラの中国茶ようなオリエンタルなフレーヴァーが漂う。
味わいは、非常にまろみのあるアタック。舌にポッテリと重く感じる濃密で緻密な舌触り。まるでチョコレートのような舌触りを連想させる。キャラメルのような甘さとヨーグルトのような酸味、不思議ともぎたてのりんごや白桃のようなフレッシュさもあわせもつ。
後味は、ナッツとバニラのような余韻が長く長く残り、きりりとしたドライ感と円熟したまろみが同時に味わえる。
たしかにブルゴーニュの偉大なる白ワインを飲むためのバルーングラスなら、このふくよかで円熟した魅力を十分に堪能できるだろう。あまり冷やしすぎないほうがいい。
いくつかのヴィンテージ酒をブレンド(フランスではアッサンブラージュという)し、より複雑で高度なバランスをもつ商品に仕上げるという発想は、まるでシャンパーニュやボルドーのワインと同じだ。
シャンパーニュ好きの方なら、Grande Cuvéeと聞けば、おっと、クリュッグか、と思われるだろう。おまけにいくつかのヴィンテージをアッサンブラージュする手法はまさにクリュッグの“マルチ・ヴィンテージ”の概念と重なる。
ここ数年、やっと、日本酒にも熟成とかヴィンテージとか古酒という考えが浸透してきたけれど、この“マルチヴィンテージ”の日本酒は、実に新しい胸躍るパイオニアだといえるだろう。
さらに、このグランド・キュヴェ、先日の北海道洞爺湖サミットでも使用されたのだとか。もともと本数が少ないうえに、サミット使用となると、普通に手に入れられる本数は、限られてくるだろう。
ちなみに、ウェブ上からも購入できる。ただし50本のみ。
ご興味のある方は、たぶん、急げだ!
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■大七酒造「大七ショップ」