日本酒/日本酒関連情報

『いまさらおけを考える会』イベント開催(2ページ目)

桶仕込の日本酒はじめ、味噌、醤油など食品メーカーや桶職人の方々を中心とした『桶仕込み保存会』のイベントが開催された。消滅しかけている日本の伝統をアカデミックにとらえた集まりだ。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

実際に買える、桶仕込み銘柄は?

このセーラさんに目覚めさせられた蔵元は以下のとおり。
とくに、2004年4月現在、実際に桶仕込みを行い商品として販売している蔵元&銘柄のみを並べてみた(桶仕込み保存会サイトからの抜粋)。


木桶仕込みのラベルは蔵元さんによってさまざま。

   ●あさ開
   ●南部美人
   ●佐浦
   ●亀の井酒造
   ●奥の松酒造
   ●大七酒造
   ●大和川酒造店
   ●小澤酒造
   ●枡一市村酒造場
   ●白扇酒造
   ●窓乃梅酒造
   ●末廣酒造
   ●宝酒造



桶仕込み、面白いけど、その味は・・・?


パネルディスカッション参加者(株)ウッドワーク/藤井製桶所代表取締役、上芝雄史氏の話は説得力があった。
この「いまさらおけを考える会」のイベント、なんと取材陣には利き酒用のお猪口がもらえず(え~ん・・・涙、こんなのあり?!)、しっかり味わうことができなかったのだが、他の参加者の方にお猪口を借りつつ、すばやく味見をしてみると、なにより驚くのは、実は「木桶の風味がしない」ことなのだ。

前述の同サイト内記事でも書いたけれど、ワインを勉強している私にとって「木桶仕込み」というと反射的に「木の香りのあるお酒」というイメージがわく。イコール「どことなくバニラの風味がただよい、複雑で個性のある日本酒」という意味になるのだ。
このイメージのまま味わってみると、正直、拍子抜けしてしまう。同じ感想を持つワイン&日本酒好きは多いようだ。


醤油やみりん、フナ寿司なども桶で作られる。
もちろん「桶」と「樽」が微妙に違うこともわかるし(小泉武夫先生によると桶は杉材でふたがなく大きいもの、樽は樫材でふたがあり小ぶりのものという説明であった)、ワインだって「木樽」を使っての「発酵」では木の香りがあまりつかず、「熟成」させないと木の香りがつかないということも知っている。この日本酒の「木桶仕込み」は「発酵」時に使用しているので木の香りがつかないメカニズムもわかってはいる。
わかってはいるのだ。しかし・・・。

飲み手にとって「フムフム、木桶仕込みの感じがするよね、確かに違う! うん、おいしいし、楽しい」と思わせてくれる何かがないとせっかくの木桶仕込の価値がないのではないかと思ってしまうのだ。

味見しておいしかったのが、この木桶仕込みのイカの塩辛(函館産)。
とにかく、どの銘柄もどの造り手さんも口をそろえて「味わいがきれいでしょ」なのだ。これがどうもウリらしい。
うう~ん、本当にこれでいいのだろうか・・・。

実際「樽酒」というのは実売されており(どのように造っているのか詳しくはわからないが)、杉の風味がついていてなんとなく風情のある味わいで楽しめるのだから、木の風味が悪いわけではないだろうに・・・。

ま、まだ、今はトライしたばかりだし、これからさまざまな経験とチャレンジで面白い作品が生まれてくるだろう。今しばらく注目しておきたいと私なりに「いまさらおけを考えた」次第・・・である。



桶の木にさまざまな思いをこめた「桶アート」。われらが先輩田崎真也氏のものもある。

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