親どうしの関係と「徒歩通園」
メリット・デメリットはどちらにもあります。 |
前述のMさんは、「保護者どうしで園や小学校や習い事の情報収集ができたのは助かったのですが・・・」と前置きをした上で、「でも保護者どうしの交流が多い分、トラブルも多いように感じます。」と打ち明けます。
たとえば子どもどうしのケンカなどがあった場合、先生が気を利かせて“やった子”と“やられた子”の名前を伏せてそれぞれの親に連絡しても、ちょっとしたことですぐに他の保護者にも広まってしまう、と言います。その挙句、「○○くんは乱暴だから…」といったウワサに発展しやすい、というわけです。
それに対して、現在は小学生のママであるKさんは違う意見です。Kさんは、子どもが通っていた園で親どうしのトラブルの回避が比較的うまくいっていたという印象を持っているのですが、それには「徒歩通園だったことが、その大きな理由」と考えています。
「そもそも親の出番の多い園だったということもあるのですが、毎日園の先生と顔をつきあわせ、話をすることが、トラブル回避に自然とつながっていたような気がします。
園で子どもどうしがケンカした場合など、徒歩通園だとすぐその日の降園時に双方の保護者に伝えてもらえます。場合によってはすぐ相手に謝りに行ったり、話し合いをすることで、それ以上問題が大きくなるのを防ぐことができました。」
確かに、これが担任との電話や連絡帳のみでのやり取りでは、感情的な行き違いが生まれやすいかもしれません。一方でMさんのように、「あまり顔を合わせ過ぎるのも・・・」という意見もあります。
徒歩通園で親どうしが親しくなることのメリットもよく認識したうえで、これらの意見について判断していただければと思います。
Mさんの「“子どもが楽しければそれでOK”なのか“ママ自身が他の保護者や保育者と交流したい”なのか、によって見方は分かれると思います。」という感想が、皆さんの参考になるのではないでしょうか。
結論:子どもの個性と家庭の事情をよく考えて
では、結局のところ、「バスか徒歩か?」をどう選べばよいのでしょうか。ガイドの考えは、「基本的には徒歩通園や自転車通園が可能な園がおすすめ」です。というのは、幼稚園は父母会などで親が園に行かなければならない機会も多いもの。「バスでしか行けない」という園は、心理的にも遠く感じられてしまいそうな気がするからです。小さな下の子がいれば、なおさらです。
例えば、「がんばれば自転車で行ける」くらいの距離なら、入園当初は親が送迎し、慣れてきたら途中からバスに切り替える、という臨機応変なやり方だっていいのではないでしょうか。要は、子どもの様子を見て判断するということです。
それから、「早生まれで集団生活が不安」「発達に遅れがあるかもしれない」という場合は、極力徒歩(自転車)通園にしたほうがいいと思います。園側と連携し、密接にコミュニケーションをとっていく必要があるからです。一緒に通園して園での子どもの様子をイメージできるようにしておいたほうが、親自身の不安も軽減できると思います。
また、ここまでの部分は都市部を想定して書きましたが、「車社会」の地方都市ではこの限りではありません。園に駐車スペースが充分にあるならば、「バスでしか行けない園」でも「通える範囲」と考えて差し支えないと思います。
まずは園情報をしっかり集め、子どもの個性とそれぞれの家庭の事情を考慮して、納得のいく選択をしてくださいね。
■参考文献
森上史朗・高杉自子 監修 『幼稚園を選ぶ、なら』 婦人生活社
■関連サイト
通園期間と通える園をチェック【幼稚園・保育園】
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本当にいい幼稚園を見抜くには【幼稚園・保育園】
園内、親同士の付合いという呪縛【幼稚園・保育園】