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「早寝早起き」が何より大事

「子どもは眠くなったら勝手に眠るもの」-そう思って夜型の家庭が増えているといいます。しかし、睡眠リズムの乱れが子どもの心身に影響を及ぼすという研究結果も報告されています。

執筆者:吉森 福子


「子どもは眠くなったら勝手に眠るもの」-そう思い、「早寝早起き」を意識しない家庭が増えているといいます。しかし、「早寝早起き」は園生活がうまくスタートできるかどうかの重要ポイント。シリーズ1回目は、「子どもの睡眠不足の理由」「睡眠リズムの乱れが子どもの心身に及ぼす影響」についてお話します。

クローズアップ現代「子どもの睡眠が危ない」に大反響

ベッドは自分だけの場所。「わたしはどこのベッドで眠るの?」欧米の児童文学ではそんな台詞がよく見られます。
2005年1月5日に放送されたTV番組・NHK「クローズアップ現代」には、視聴者から再放送の希望や問い合わせが特に多く寄せられました。そのテーマとは、「子どもの睡眠が危ない」というものです。
視聴者の反響があまりに大きかったため、番組では2005年2月3日に「子どもの睡眠が危ない~いま大人にできること~」として「第二弾・実用編」を放送したほどでした。
現代日本の子どもの睡眠は、それほどに「危ない」状態にあるのでしょうか?

「添い寝」が睡眠不足の原因では?

「子どもが夜、なかなか眠らなくて困っている」、そんな育児の悩みは多く聞かれます。今、日本で乳幼児を育てている家庭では「子どもを寝かしつけるときは添い寝し、子どもが寝付いてからそっと布団から出る」または「子どもと一緒にそのまま眠ってしまう」という方法が一般的です。
一方、欧米では子どもが赤ちゃんのうちから「親子別室」で眠るのが一般的であると言われます。小さな子どもが「おやすみなさい」と言って自分の部屋へ行き、ひとりで眠る。そんな夢のような話が本当に存在するのか?と思った日本人ママ・パパも多いのではないでしょうか。

そして、ガイドはこの「子どもが親と一緒でなければ眠らない」という習慣が、子どもの睡眠不足を招いているのではないかと考えます。
もちろん、中には「子どもと一緒に早く寝て、朝は早起き」という健康ご家族もいるでしょう。しかし、多くの大人は子どもを持つまでは午後9時に眠る生活などしていなかったはず。「午後9時に寝て朝の4時に起きる」等の方法で乗り切っている家庭もあるようですが、全ての人が実践可能ではないでしょう。
また、子どもに添い寝して寝かしつけつつ「眠ってから洗い物をしよう」などと思っていると、どうしてもイライラします。大人の寝る時刻に関わらず、子どもはとにかく早く寝かせるという生活の重要性が今、見直されてきてるのではないでしょうか。

「添い寝はダメ」から「おすすめ」への変化

しかし、よく考えてみると現在30代・40代の私たち親世代は子どもの頃、親とは別に早く寝かされていませんでしたか?
実は日本でもほんの30~40年前には、「添い寝」は専門家の推奨するところではありませんでした。それがここ20年ほどの間に日本の育児にある「変化」が起こったために一般的になったのだ、というのがある専門家の指摘するところなのです。

社会学の研究者・品田知美氏によると、「日本の育児の常識」は、1980年代に大転換を遂げたのだそうです。
品田氏の著書・『<子育て法>革命』によると1960年代の母子健康手帳副読本では「添い寝や、おんぶ、だっこで眠るのでは、では眠りが浅くなります。くせになると途中ではなかなかなおしにくいので、家族中で協力して、はじめからひとりで寝るくせをつけましょう」といった記述がみられるといいます。一転して「添い寝はお勧め」という記述がされるようになったのは1985年のこと。そして、この路線が現在も継承されているのです。
この変化について品田氏は「親主導から子ども中心の子育てへの、革命と言えるほどの大きい変化」 と言います。

ガイドは考える・生活リズムは親がつくるのだ!

以上のような理由から、現代の日本では乳幼児期の子どもと親は一緒に眠る」というスタイルが主流になっています。こうした「子どもに合わせる」式の育児には、「より子どもとの触れ合いを楽しむ」というメリットはあると思います。
しかし「子どもの生活リズムに合わせていると、就寝も起床もどんどん後へ後へとズレ込んでいく」という経験をされた方も多いのではないでしょうか?「添い寝」を全て否定するわけではありませんが、「添い寝」のために子どもの就寝時刻が遅くなっているようなら、見直す必要はありそうです。
特に「これから幼稚園生活を始める」という家庭では、いい機会です。子どもが昼間、気持ちよく活動できるような状態にもっていくために、生活リズムについて再確認してみませんか?

次のページでは、「睡眠リズムが乱れるとどんな影響があるの?」について



■参考サイト■
「NHKオンライン」>「クローズアップ現代」放送記録

■参考文献■
品田知美 『<子育て法>革命』 中公新書 2004年
神山潤 『眠りを奪われた子どもたち』 岩波ブックレット 2004年

■関連リンク■
2005年・入園前はここをチェック(2) → こうして子どもを早く寝かせる!【幼稚園・保育園】
「行きたくない!」の原因が「眠いから」ということも
 → 登園しぶり、どうする?【幼稚園・保育園】
夜泣き、疳の虫の効くという → 疳の虫にも効果!スキンタッチ法【妊娠・出産準備】
おねしょの悩みは → 「おねしょ」の科学【子育て事情】
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