「アルテミス」のコンセプトは、
ズバリ、魚料理を充実させること
昨今、各国料理店のなかで勢いがある国の料理はどこかと聞かれれば、「まずはトルコ料理でしょう」そう答えるに違いない。新店が続々とオープンし、いま、トルコ料理からますます目が離せなくなっている。2009年8月、広尾にオープンしたトルコ料理店「アルテミス」は、そのなかでも最も注目したい新鋭店だ。
トルコ料理というと、多くのひとが “シシケバブのような肉料理ばかりでしょ”、食べたことがあるひとなら、“野菜も意外と多いのよね” そんな言葉がもれるはず。確かに、トルコ料理は肉料理(とくに羊肉料理)が多い。前菜をはじめ、野菜もよく使われる。しかし、魚料理を想像するひとがいるかといったら、皆無にひとしいのではないだろうか。
しかしながら、トルコはエーゲ海、地中海、黒海に面した国。魚が豊富にとれ、沿岸地域をはじめ、イスタンブールといった都心部では、シーフード専門店まであるほどだ。私はトルコでいくつかの沿岸地域のシーフードレストランを訪れたのだが、それはそれは素晴らしいものだった。前菜からカタクチイワシやえび、タコといった魚介類がこれでもか!というくらいにテーブルを賑わし、食事の序盤から高揚したものだ。
トルコの地中海沿岸のシーフードレストランでは魚介類が豊富 |
トルコは豊かな海の食材に恵まれた国
そして、それまで羊肉が好きだからと肉料理ばかりを口にしていて(野菜も食べましたけれどね)、まったく飽きなかったワタシだが、シーフードレストランを訪れると、日本人のDNAが喚起されたのだろうか、胃も心もいつのまにか魚料理に魅せられ、寛いでいる自分がいた。と、そんな経験もあり、トルコの魚料理には惹かれているものの、残念ながら日本のレストランでは魚料理はあまり見られない。えびのサラダや魚のケバブ、本日の魚料理ぐらいはあるものの、ほかの魚料理が充実している店といったらそう期待はできなかった。
が、そんなときの救世主となったのが、このたびオープンした「アルテミス」である。広尾駅から有栖川公園にむかって湾曲した道を少し歩き、一本目の道を左に曲がった八百屋さん(びっくり屋という店名にぴったりの、ホントにびっくりするほど目を引く店)の2F。勢いある八百屋の雰囲気に気をとられていると、見過ごしてしまうかもしれないが、トルコの国旗と同じ色の赤い屋根が見えたらそこがお店。