浅草　「ムグンファ」

～ ｆｏｒＭ食の連載「東京風景、街角の味」タイアップ記事 ～

東京には、さまざまな理由で母国を離れ、お互いに支えあうかのように集まって生活している人達がいる。その人達はなんとか生活していくために自国の料理店を開き、小さな街を形成している。
浅草のある一角にも小さなコリアン街がある。大抵街の規模が大きくなればなるほど、いたずらに母国の料理を演出しがちになるものだが、ここは自国の味や温かいもてなしはそのままで、心地よい食事の場を提供してくれる貴重なエリアだ。

大通りから一本入った路地で、煌々と輝く黄色い看板が目に入る

そのような場所に店を構える韓国料理店は、とかく中が見えにくい扉と一芸さんはお断りという、どことなく閉鎖的な空気が漂ってきて入りにくいもの。
しかし、今回紹介する「ムグンファ」は、初めての人でもすんなり受け入れてくれる包容力がある。

以前、ひとりでふらふら歩いていたときに見つけた店だ。私はどちらかというと、いかにも狙いました、というような平面的な店は避け、カウンターだけや小さなスペースでひっそり営んでいる店にふいに入ってしまうことが多いのだが、このムグンファは特別だった。

ふわふわ豆腐に後味スッキリの上品なピリ辛スープが絡んだ“スンドゥブ”

店頭には、明らかにお金がかかっていそうな看板がドーンと置かれ、灯りや白木で統一した造りもどこかおしゃれ。
このエリアでは、異彩を放つ独特な雰囲気で一瞬躊躇したが、無性に惹かれるものがあったのでとりあえず入ってみた。

食したのは、スンドゥブ（おぼろ豆腐チゲ）。
スープをゆっくり口に含み飲み込むと、次第に顔の筋肉がゆるみほころんでくるのがわかった。なんて澄んだ上品な味なんだろう・・・。あまり期待していなかっただけに、洗練された味に驚いた。

この時ばかりはひとりで来店したことを悔やみつつ、次回は友人と来るぞ！と意を決して店を後にしたが、その後なかなか行く機会に恵まれず、数ヶ月前にやっと再訪するに至った。

さて、久々の来店はいかがなものだったのだろうか・・・？！つづく→

■この街にこの店あり～神楽坂編～　モロッコ料理「アガディール」
■この街にこの店あり～御徒町編～　韓国料理「アレンモク」「アリラン」など
■この街にこの店あり～麻布十番編～　タイ料理「サムロー」