マイノリティを礼賛!
一見、母と娘の絆がテーマなファミリードラマのように見えますが… |
いったいどの人がパパ? |
ネタバレになるのでストーリーはこれ以上詳しく書きませんが、実際に観ると、この映画の本当の主役はオバサンやオジサンだ!と思うハズです。『プラダを着た悪魔』では鬼のようなキャリアウーマンだったメリル・ストリープが、どうしちゃったの?ってくらいに明るく元気に跳んだりはねたりしてますし、彼女の親友のターニャ(結婚マニア)とロージー(まだ独身)も超がつくほど元気でキャラが立ってて「アゲ」です。プラス、かつてはジェームズ・ボンドだったりブリジット・ジョーンズの相手役の地味男だったりした3人のオジサンたちも、ビックリするくらいハジけちゃってます。たいていの映画では40代50代ってシリアスだったり悲哀を感じさせる役どころだったりしますが、あれだけハジけちゃう(決してピエロ=笑い者ではなく、心から楽しそうにハジける)姿を観てると、こっちも楽しくハッピーなキモチになれるのです。
よく考えるとこの映画の登場人物って、母子家庭だったり、父親の顔も知らない娘だったり、独身の中年だったり、貧乏だったり、それぞれに何か抱えているものがあります。でも、これっぽっちも悲哀を感じさせません。しかも、田舎の小さな島なのに、ちゃんと黒人もいればゲイもいます。飲んで歌って踊れば何でもOK!みんな友達!ってなノリで、マイノリティ性が個性として礼賛されているのです。ギリシアという美しく明るく大らかな舞台とABBAマジックが、こんなステキ・ワールドを可能にしたのです。きっと沖縄とか南の島が好きな人もハマるハズです。
性別も年齢も人種もセクシュアリティも関係なく、みんなで踊ります!
このステキ・ワールドにはもう1つヒミツがあります。『マンマ・ミーア!』を監督したフィリダ・ロイド(もともと英国の舞台演出家で、舞台『マンマ・ミーア!』を成功させて、映画でも監督を務めることになりました)はレズビアンで、イアン・マッケランやエルトン・ジョンらとともにインディペンデント誌が選ぶ「英国で最も影響力のあるゲイ&レズビアン100人」にも選ばれています。だからこそ、あの魅力が出せたんじゃないかな?と思います。
女性たちが本当に生き生き!
3月1日日曜日は映画サービスデー(1000円で観ることができます)。まだ『マンマ・ミーア!』をご覧になってない方はぜひ、ご覧ください!