タージマハルのふたつの見所、シンメトリーとアラベスク
夏、周囲の石が焼けるほどの日差しのなか、タージマハルの大理石部分はひんやり冷たいほど。非常に純度の高い白大理石がふんだんに使用されている
南門を抜けると正門で、正門の向こうにタージマハルが現れる。感動の瞬間
基壇には4つのミナレットがそびえ立ち、廟に安定感を与えている。タージマハルを見上げると、廟の周囲がアラベスクで彩られているのがわかる。アラベスクとはイスラムの装飾文様のこと。イスラム教では偶像崇拝が禁じられているため、人や動物の絵がほとんどない代わりに、文字や幾何学図形や植物の装飾が発達した。
廟の中は墓室になっていて、セノタフと呼ばれる棺をかたどった墓碑がふたつある。中央にあるのがムムターズ・マハルで、大きい方がシャー・ジャハーンのもの。本物の墓は地下の玄室にある。
タージマハルは夜景もまた美しい
それもそのはず、はめ込まれた一つひとつの石が、水晶、めのう、サンゴ、碧玉、琥珀、るり、カーネリアン、ダイヤモンドといった宝石だ。きわめて精緻な象嵌細工で、宝石の色や濃淡を計算し、植物の形に削り込み、同時にピッタリ合うように大理石を彫って、一つひとつはめ込まれている。本物は本物でしか語れない。タージマハルのアラベスクは、花の美しさを宝石の美しさで代弁する。