暮らしの歳時記/日本のしきたり・マナー・ことば

手紙の書き方 ~心に届く時候・時節の挨拶(3ページ目)

手紙といえば文例集に頼りっぱなし…「拝啓」のあとの「時候の挨拶」で筆が止まってしまうあなたに、苦手意識をなくす季節の挨拶をご紹介します。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

抜き出しただけの文は退屈です

誰かに手紙を書きたくなる…そんなアイテムを探したい。
(協力:オリジナル文具の裏具
前ページで5つの文例を紹介しましたが、比較してみると、自分の言葉で書いているかどうかがわかるでしょう。

儀礼的な挨拶はお行儀が良いけれど、退屈なのです。文例集は例にすぎませんから、抜き出すのではなく自分の気持ちを添えて活用しないと、冷たい文字になってしまいます。マニュアル通りの接客が見透かされてしまうのと同じです。


下手でもいい。素直に、自分の言葉で。

筆でさらさらと…も夢ではないのです。
でも文章を考えるのは苦手……なんて思わないでください。高尚なことを書こうなんて思わず、感じたことを素直に、自分の言葉で表現すれば良いのです。ネガティブな表現を避けて季節の良さに目をむければ、あなたらしい季節の挨拶になるのです。

例えば……
●ちょっと外を眺めてみる
「雨に洗われた若葉が、青々としています」
「窓ガラスをたたく雨が 幾何学模様を描いています」

●身近な出来事を思い返してみる
「昨夜から降り続く雨に 新しいピンクの長靴をおろして 娘が嬉しそうに登校していきました」
「梅雨空をみて 今朝はどの傘にしようかと迷うのも 密かな楽しみになりました」

●思い出を綴ってみる
「水たまりを通るたび 長靴ではしゃいでいた頃を懐かしく思い出します」
「梅雨空を眺めていたら 一緒に雨宿りをしたときのことを思い出しました」

少々下手でもいいのです。相手の心に残るのは、上手い下手よりもあなたの素直な気持ちなのですから。
手紙と一緒に季節を届けたい…そんな思いが相手の心に届くはずです。


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