3800円の野菜炒めは高いのか!?

豆苗の塩炒め
日本が世界に誇れる中華の名店、ウエスティンホテル内にある龍天門。前回の記事ではそこで食べられる究極の裏メニューについてご紹介しました。今回はそれに引き続いて、龍天門で使用されている野菜について触れてみたいと思います。こちらではその日仕入れた選りすぐりの野菜を客の好みに応じて調理してくれる郊外油菜遠というメニューがあります。例えば、「チンゲン菜をガーリック炒めで……」や「豆苗をシンプルな塩炒めで……」などなど。調理法は11種類にも及びます。お値段は2~3人前とはいえ、3800円。味は前回の記事を読んでいただくと分かるように、今まで口にしたことも無いような飛び切りの美味しさ。でも私の感覚ではかなり高い印象を受けてしまいました。そこでその味を生み出す舞台裏、龍天門の野菜を栽培するとある1軒の農家さんを取材することに。今ならはっきりと言えます。「この値段は安い!」

料理長の食材に求める水準

とある日、陳 啓明(ちん けいめい)料理長とともに、足を運んだのが千葉県八千代にある中台農園。「野菜は生き物。天候に左右される出来映えや成長の具合などを、コンスタントに自分で確かめないと!」そう陳料理長は語ります。野菜ひとつにこれほどこだわるということは、もちろん他の食材にも同じように時間と手間をかけているということ。そう、龍天門で使用される食材は、野菜に限らず、牛肉、豚肉、海鮮、全てが陳料理長の求めるハードルを飛び越えてきたもの達なのです。

陳料理長のお眼鏡にかなう野菜を育てているのが中台育夫さん。中国野菜を専門に生産するこの農場の主です。二人の付き合いは5年前から始まりました。もちろん、最初から両者が納得する答えを出せたわけはありません。生産者側の要求と、調理者側の要求。平行する二つの線を交わらせたのはお互いに「良いものを作りたい」という熱意があったからこそ。中台さんは龍天門の料理を食べ、調理者側の要求の意味を理解し、また陳料理長は生産者の苦労や痛みを背負うことで、二人は深い信頼関係で結ばれてきたのです。

では、農園で育つ野菜を実際に見てみることにしましょう。
次ページで紹介します。