日本の発展を胃袋からささえた名店
「日本人を胃袋から元気にしようって、ボクの父親がこのレストランを開いたんだよ」そう語りはじめてくれたのは、銀座の洋食みかわやのご主人、渡仲耐治さん(写真右)。まだまだ戦後の混乱のまっただ中にある昭和23年に創業し、約60年もの長い間銀座の歴史と共に、また店を愛するお客さんとともに歩んできた古き良き洋食屋さんです。三越から裏手の路地を入ると、目を引くレトロモダンな洋館風の建物が今回の舞台。創業当時から変わらない昭和の佇まいを今に残す貴重な建築物でもあります。琥珀色にかがやくコンソメスープ
このクリアな味わいを出すためには、料理人が付きっきりで6時間、野菜や丸鶏、牛スネ肉の入った鍋をゆっくりとかき混ぜ続けます。しかも沸騰直前の温度を保ちながら。沸騰してしまうとスープは濁り、エグ味が生じてしまうのです。余分なものを極限まで削ぎ落とし、最高に洗練された旨味だけがこのスプーン一杯の中につまっているのです。
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