中国伝来の「粽」(ちまき)
「とらや」の「粽」は円錐形。 白下糖入外良粽(関西地区は外良粽)、 羊羹粽、水仙粽の3種類。 (写真提供;とらや) |
粽の起源は中国の故事にあり、戦国時代に楚国の王の側近、屈原が国の将来に絶望して川に身を投げたといいます。それを憐れんだ人々が屈原の忌日である5月5日に供え物をしたものの竜に横取りされたため、それを防ぐために供え物を葉で巻き五色の糸で縛ったとされ、これが粽の始まりと言われています。
粽の形は様々で、雫のような円錐形、三角形、米俵など各地で様々なものが見られます。例えば「とらや」の粽は円錐形で3本、あるいは5本束ねられ、厳かな雰囲気を湛えています。小豆の「羊羹粽」、吉野葛を用いた涼しげな「水仙粽」、それに和三盆糖の原料「白下糖」(しろしたとう)を使ったコクのある「白下糖入外良粽」(関西地区は外良粽)の3種類は味わいだけでなく、食感の違いも楽しめます。
越後名物の「(三角)ちまき」。 きな粉等を付けて食べる。 |
菖蒲に因んだ和菓子
「とらや」の 季節の羊羹 中形「菖蒲あわせ」 (写真提供;とらや) |
例えば「とらや」の季節の羊羹「菖蒲あわせ」(あやめあわせ)は、平安時代の端午の節句に、菖蒲の根の長短を比べ、歌を詠み添えるなどした遊戯、菖蒲合(あやめあわせ)(根合;ねあわせ)にちなんだもので、色を重ねて菖蒲の花を表しています。
桃の節句や端午の節句は子どもにとって、自分のためにお菓子が用意される特別な日。一方で、大人にとっては子どもの心に「大事にされた」という幸せな記憶を刻んであげられる好機でもあります。自分の子でなくても甥っ子姪っ子、友人の子。端午の節句が近づく頃、子どもがいる人への手土産には、ぜひ柏餅や粽を選びたいものです。
<端午の節句の和菓子情報>
■ 「とらや」
◇予算一例:
◎「柏餅」御膳餡(こし餡)、味噌餡 各1個284円
(販売期間;2010年4月21日~5月5日)※店舗により異なる。
◎「粽」羊羹粽、水仙粽、白下糖入外良粽(関西地区は外良粽)
3本束1,134円、5本束1,890円
(販売期間;2010年5月1日~5月5日)※店舗により異なる。
◎小形羊羹「五月のぼり」端午の節句限定パッケージ
小倉羊羹『夜の梅』(鯉のぼり)、抹茶入羊羹『新緑』(菖蒲)、
黒砂糖入羊羹『おもかげ』(兜)各1本210円
(販売期間;2010年4月7日~5月5日)
◎季節の羊羹 中形「菖蒲あわせ」1本1,953円
(販売期間;2010年4月上旬~5月上旬)
※取扱店等の詳細はホームページをご確認ください。
<参考>
『事典 和菓子の世界』中山圭子著 岩波書店
『和菓子の絵事典』俵屋吉富/ギルドハウス京菓子京菓子資料館監修 PHP研究所
All About「冠婚葬祭」ガイド中山みゆきさんの記事
「端午の節句」常識度チェック!
【柏餅の作り方】
意外に簡単、こどもの日の「柏餅」レシピ!