和菓子/上生菓子

「塩野」赤坂で春を愛でる(3ページ目)

日本の四季折々を、この上ない美しさで表現する東京・赤坂の「塩 野」の上生菓子。この時期は、春の陽だまりのような柔らかな色合いの菓子が店頭を彩ります。

原 亜樹子

執筆者:原 亜樹子

和菓子ガイド

「土筆」「佐保姫」「野辺の春」春爛漫

土筆
こし餡を包んだ薯蕷饅頭の
「土筆」(つくし)
焼印とぼかしが入る
「土筆」(つくし)は、芋の香りが上品な、しっとりとした薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)。キレの良い甘さと滑らかな口溶けからは、技だけではなく素材の良さも感じられます。

佐保姫
こし餡を包んだ煉切
「佐保姫」(さほひめ)
3月後半頃まで
春をつかさどる女神「佐保姫」(さほひめ)の名が付いた煉切は、桜の花を模した愛らしい形です。

和菓子は菓銘(菓子の名)も味のうち。和菓子を口にするとき、その菓銘にも思いを馳せると、味わいが倍増するような気がします。

野辺の春
こし餡を包んだ
薯蕷きんとん「野辺の春」
3月後半頃まで
若草の中に小さな花をあしらった「野辺の春」。柔らかな薯蕷きんとんの、ねっとりとした独特の味わいがたまりません。

今回ご紹介したものだけでも、意匠も菓銘も味わいも様々で、和菓子の奥深さを感じます。

上生菓子だけではない塩野の魅力

どら焼
とろりと瑞々しく、
艶やかな大納言餡を挟んだ
「どら焼」は逸品
店には上生菓子の他、淡い色の皮むき餡に塩を効かせた「塩乃羊羹」や、親しみがありながらも品の良い「大福」や「どら焼」なども並び、赤坂を行き交う人々の多様な求めに応じています。

大福
赤えんどう豆入りの餅で
こし餡を包んだ「大福」
「和菓子には心を和ませる力、人の気持ちを豊かにする力があるように思うのです」と穏やかに語る高橋さん。店に流れる空気は、ご主人の柔らかな物腰そのもの。改めて、店は人を映すものだと感じました。

先代の頃から多くの若手の人材を受け入れ育てて来たという「塩 野」。上質な味わいと洗練された意匠、気持ちの良い応対から垣間見える店作りは、客だけでなく、職人をも魅了しているようです。

<店データ>
「塩 野」
所在地:東京都港区赤坂2-13-2
電話番号:03-3582-1881
営業時間:9:00~19:00(平日)9:00~17:00(土曜・祝日)
定休日:日(但し節句、大晦日は営業)
東京メトロ千代田線 赤坂駅2番出口より徒歩約1分
銀座線、南北線 溜池山王駅より徒歩約5分ほか
地図:塩野地図

◇予算一例:
「季節の上生菓子」中心価格は1個320円
「大福」1個250円
「どら焼」1個250円

【上生菓子の美味しいお店】
キリッと江戸風「秋色庵 大坂家」(三田)
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