慶應義塾大学 三田キャンパスの正門前に店を構える「秋色庵 大坂家」。300年以上の歴史を持つ老舗の和菓子から感じられるのは、いきいきと明るい、キリっとした「江戸らしさ」です。
(目次)
P1 「秋色庵 大坂家」、4種類の「定番」
P2
「秋色女とは」
P3
新顔のお菓子や店舗情報
「秋色庵 大坂家」の歴史を辿る
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「秋色庵 大坂家」
慶應義塾大学
三田キャンパスの正門前 |
大坂(現大阪)から江戸へ移り、日本橋小網町に店を構えたのが元禄年間(1688~1703年)。その後火事や関東大震災によって焼け出され、現在の三田に落ち着いたのは昭和3年とのこと。
古い文献などに「大坂屋伊勢大掾」の名が残る、格式ある菓子屋だったようです。店名を「大坂家」と改めたのは16代目。今回は18代目の倉本勝敏さんにお話を伺いました。
特徴の異なる4種類の「定番」
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「虎豆鹿の子」
角羊羹を芯にこし餡を丸め、
虎豆を付け、錦玉で艶出し |
週替わり、季節替わりの美しい上生菓子と共に、私が毎回のように選ぶのが、「織部饅頭」、「君時雨」、「若草」、「虎豆鹿の子」の4種類の定番菓子。
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しくっと割れる
薯蕷饅頭
「織部饅頭」 |
きめ細かい特注の米の粉で作った、薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)「織部饅頭」は、ねっとりととろけるよう。白い肌に緑のぼかしを入れて織部焼きに見立てたシンプルなデザインは、何度見ても美しいなと思います。
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中餡の入らない「君時雨」
有機肥料で育った、
平飼いの鶏の卵でふんわり |
自家製の白餡に卵黄を練り込んで蒸し上げる「君時雨」。香り良くふんわりと膨らませる決め手は、平飼い卵。ご主人が群馬県前橋市の養鶏場まで足を運んで納得した一品です。
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こし餡を求肥で包む
もっちりした「若草」
糸のようなそぼろは柚子風味 |
「若草」のそぼろの香り付けには、奥多摩に自生する、小粒で香りの強い柚子が使われます。この柚子も、「素材探しが好き」と話すご主人が探し当てたもの。素材の質は和菓子の質と、改めて感じました。