そば/そば関連情報

奇蹟のそば屋 びばいろ@芽室

十勝の人が誇りとするそばは、彼らが愛してやまない絶景のなかで、慈しむように育てあげられてきた。そしていま、若き店主による名店がデビューする。

執筆者:井上 明


新蕎麦も調製が進んで盛りを迎えた11月の中旬。築地の教務日程の合間を利用して北海道へと飛んでみた。

このたびの訪問は、芽室(帯広西方)にて名門そば店を再興した竹内さんのお店に寄ってみることと、かねてより気にかかっていた多くの名店を訪れるのが目的だ。


▲11月中旬、レンタカーもスタッドレスで足固め


11月も後半になると、天候によっては自動車での峠越えの効率が悪くなってしまう。2-3泊程度の日程で道内を駈け抜けられるのは、まさにこの週しかないということで、11月15日の一番機で羽田を発った。註文しておいたレンタカーは、折しもカーオブザイヤーに輝いたSUZUKIのSWIFT。快適な運動性能を愉しみながら、一路十勝へと向かった。


▲石勝樹海ロードは、ヨーロッパアルプスのように美しく


十勝は、ラーメン王国北海道の中にあって、「そば」に対する思い入れの強いエリアだ。鹿追をはじめとする蕎麦の産地であると同時に、帯広を中心とする人口の集積がある。十勝には、プロアマ問わず蕎麦打ち自慢が多く、道内でもそばのレベルが高いエリアとしてつとに有名だ。



▲山からの伏流水と、この澄みきった空気に恵まれている


そして素晴らしいのがこの景観である。どちらかというと単調な道東の風景とも、豊かな起伏に飛んだ道南とも異なり、ゆるやかな起伏と広がりの向こうに、大雪山系、日高山系という秀麗なる美峰を枯山水の屏風のように配置する絵になる土地柄。十勝の人が誇りとするそばは、彼らが愛してやまないこの風景のなかで、慈しむように育てあげられてきたのだ。


▲日高の山系をバックに、哀しいほど美しい風景が広がる


この日、気温はかろうじて氷点を超えていた。幸いなことに無風であった。昨晩徹夜でデータベースと格闘し、そのまま羽田の一番機に乗り込んだため、中途半端に余った時間を利用して、この荒野で睡眠を補うことにした。嗚呼、何という贅沢。夢のような風景が、上質な微睡みを誘い、小半時のうたた寝が、新品同様の元気を取り戻してくれた。
都市に欠けているもの、それは、良質な安全と、良質な水と、良質な睡眠環境である。これらすべてが、手をのばせばすぐそこに横たわっている、十勝は本当に素晴らしい!


▲画像の真ん中に小さく映っているのが、びばいろだ


さて、そろそろ、お目当ての店に赴こうではないか。
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