そば/そば関連情報

ハッピーなそば店経営

大きな成功でなくてもよいから、充実した毎日を楽しく過ごしたい。そんな夢のひとつのカタチとして、そば店がある。その一つの成功例を群馬の「おおの」さんに見た

執筆者:井上 明



そば店の経営はハッピーなビジネスだ



労働時間は長いし、利益だってさほどのものはない。
でも、お客様がお帰りになるとき、「本当においしかったです!」とか、「また来ますね!」とお声をかけていただくと、スタッフとともに舞い上がるほど嬉しくなってしまうのだ。

脱サラをして、お蕎麦屋さんの経営をめざす方が急増中の昨今だが、4年前に脱サラで開店して蕎麦店経営を軌道にのせた群馬県の大野さんご夫妻は、さまざまな苦労の末にいまの人気を勝ち取った成功事例である。

4年前の開店のときから、すでに私は「名店の予感がする」ことを禁じ得なかった。
大野さんとは、時折メールなどで消息を伝えあう仲で、ご商売が順調なご様子はずっと伝わってきていたが、先日いくばくかの空き時間がとれたので、久しぶりに「そば処おおの」を訪れてみた。

相変わらず、いやいや、前にも増して素晴らしくなっていた。ここに来ると、そば店開店をめざす人でなくとも感銘を受け、「そば処おおの」のファンになってしまうかも。小さなビジネスを成功させるためのいろいろな努力が、ここにはあった。

4年目を迎え、ますます人気が高まっている繁盛店の魅力に触れて欲しい。

明るい雰囲気づくりが成功の第一歩



誰だって、居心地の悪い空間へは足が遠のいてしまう。飲食店の成功の第一歩は、一人でも多くのお客様に来ていただくということにあるわけだから、そのお店に来たくなるようなシカケをこしらえ、逆に、そのお店に来たくなくなる因子をつぶしていかなければならない。

そのためには、店舗の設計において居心地のよさを訴求するということも大事であるが、日々の徹底した清掃で、気持ちのよい空間を維持していくことが肝心である。

コトバにするのは簡単だが、その徹底はなかなかできるものではない。そば処おおのさんは、徹底した清掃を実施しておられる好ましい店。入り口の芥子色の暖簾をくぐった瞬間、お客様は「そば処おおの」の空間に抱かれ、旨い蕎麦を心待ちにする期待感が高まる。実に心憎いばかりの演出である。


▲内外の視線の交錯をさけつつ、明るい開放感をもたらす地窓

空間をダイナミックに魅せ、清掃もしやすい大テーブル



すべてが贅沢に造りこまれた「そば処おおの」だが、やはり圧感はこのケヤキの大テーブルであろう。4人がけのテーブルをちまちまと配置する方法もあっただろうが、このダイナミックな演出こそがこの店に似合う。
巨大なテーブルゆえ、数人のグループが三々五々来店しても、席へのご案内に困ることが少ない(お一人で4人席を占有してしまうということがなくなる)。しかも、多数のテーブルを置くより整然として見え、清掃もやりやすいという点が素晴らしい。


▲欅の大木を贅沢に使った大テーブル、このお店のシンボルだ

いい笑顔で、いい人生



きわめつけは、このご夫妻の笑顔であろう。もちろん、今日の繁盛に至るまでは、いろいろな曲折があったという。苦しい日だってあったのだ。でも、大野さんご夫妻は、いつでもこの笑顔を絶やさなかった。お客様は、おいしいお蕎麦と、素敵な笑顔に会いにくるようになった。

私が講師を勤める築地そばアカデミーでも、よく「そば処おおの」さんの事は話題に上る。みなさんとても感激したとおっしゃり、「おおの」さんのようなお店を開きたいと、築地に入学した人は十指にあまる。


▲この笑顔が、新しいお客様を呼ぶ

いい人生って何だろう。人それぞれに色々なことがあるのだろうが、一日のうち何時間か無になれる仕事があって、そこから生きていく糧を得て、自分が提供したものを「ごちそうさま」と感謝してくれるお客様がいる。やっぱり、こんな人生、素敵すぎます。素晴らしい充実感とともに、毎日を精一杯働いている大野さんが、眩しい。



▲好きな仕事で、充実した毎日を過ごす。これが何より
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